第三章 兄弟の真実編
第二話 兄妹・友情と決意
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わね」
そして、ここからが相良翔の過去の全貌となる。
相良翔が、自分を嫌う最大の理由‥‥‥今、全てが明かされる。
「その日、奈々も学校を休んだんだ。 俺の看病がしたかったから‥‥‥だったと聞いたことがある。 だから奈々は両親には内緒で、無断欠席をしたんだ。 その日は両親が帰ってくるまで、奈々が俺の世話をしてくれた。 嬉しかったよ‥‥‥倒れるなんて経験ないから、看病してもらうのも初めてで嬉しかった‥‥‥本当に、嬉しかった」
翔の声が、一段と小さく、弱々しくなっていく。
その瞳からは光が消え、宙を茫洋と彷徨っていた。
「――――――親に奈々が休んだと言う事実が聞かされた瞬間、奈々の父が俺を殴った」
その一言を聞いた奈々以外の全員は、目を大きく見開いて翔を疑問を抱きながら見つめる。
――――――なぜ殴った? なぜ殴られなければいかなかった?
その疑問は、4人全員が抱いていたものだ。
翔はその時のことを思い出したのだろう、目を大きく開いて全身を小刻みにガクガクと震わせ、呼吸を荒くした。
「両親は‥‥‥特に父親は、奈々の将来のために色んな努力をしてきていたんだ。 塾や家庭教師、体調管理ももちろん、学校生活にも厳しい人だった。 だから奈々は、今まで小学中学の間、皆勤だった。 それは高校進学のためだ‥‥‥だけどそれを、俺が全て無駄にさせた」
つまり、奈々の父親からすれば、翔は父親が今までしていたことと、奈々の努力を全て無駄にさせた奴として見ただろう。
そして翔はその時、父親の本音を聞かされてしまった。
「その時に、俺に言ったよ。 俺を異物のように見ながら、軽蔑したような無表情で――――――」
――――――『所詮、捨てられるようなガキが、俺たちに関わろうとしたことが間違いだったんだ! やはりこんなガキ、拾ってやるんじゃなかった!!』
その言葉は、翔の信じてきた全てを崩壊させ、それと同時に、翔の中で何かが切れた瞬間だった。
「その後、翔はどうしたの?」
「‥‥‥俺は、父さんを殴った。 父さんも殴り返してきた。 俺は更に殴った‥‥‥その繰り返しだ」
その話しを聞いたルチアたちは、ゾッとしたように全身を震わせた。
ルチア達には、そのときの光景が浮かんだ。
きっと、見ている母親と奈々は辛かっただろう、見ていられなかっただろう。
怒りに任せ、怒号を上げながら鈍い音を立て、激しく血を流しながらぶつかり合う光景。
あの明るく優しい翔からは全く想像もつかなかった。
ましてや怒りに任せて我武者羅に殴るなんて、イメージのかけらもなかった。
そんな彼は、話しを続けた。
そう‥‥‥まだ、話しは続い
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