第三章 兄弟の真実編
第二話 兄妹・友情と決意
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児院に仕事で来たときに奈々と俺が仲良くなったことだ。
それから俺は奈々の両親‥‥‥特に母親には好かれて、中学入学と同時に奈々の一家の一員になったんだ。
だけど俺は、奈々の一家に慣れなかった‥‥‥なぜなら、孤児院にいる子の大半が両親による虐待や捨て子だったから、俺は知らないうちに父と母と言う存在を信頼できなかったんだ。
それでも奈々とは仲良くした‥‥‥と言っても、義兄としてのことは何もできなかったかもしれない」
その時の事は、今もなお覚えている。
奈々は甘えん坊で、いつも『お兄ちゃん、お兄ちゃん!』と義兄である翔を頼った。
勉強するにも、運動するにも、遊ぶにも、寝るにも、風呂に入るにも、何をするにも奈々は翔にべったりだった。
恐らく、兄と言う頼りになる存在に甘えたかったと言う欲が一人っ子の奈々にはあったのだろう。
今思えば、もっと優しくしてあげるべきだったと思う。
今思えば、もっと奈々のことを考えてあげるべきだったと思う。
今思えば、もっと信頼するべきだったのだろう。
そうすれば、奈々の人生を狂わせることはなかったのだから‥‥‥。
「俺は中学に入って、すぐにアルバイトを始めた。 俺なんかのために家族に苦労をかけたくなかったからだ。 極力、家事全般も自分の分は自分でやるように努力した‥‥‥と言っても、孤児院では自分のことは自分でやるようにと決められていたから今更苦労はしなかったけどな」
そう言うと、ルチア達は確かに‥‥‥と関心したように頷く。
それは翔の部屋を見ればわかるからだ。
ダイニングキッチンはまるで新築のように綺麗に掃除され、床もホコリはなかった。
この部屋も、本棚や机などもきれいに整理整頓されており、文字通り出来る男だった。
だが、ルチア達が何より驚くべきは、彼の過密なスケジュールにある。
相良翔の成績や身体能力は、魔法使いになる前から高かった。
それは当然、日々の努力の賜物だ。
だが、たった12歳の中学生がアルバイト、家事全般、学業、勉強、対人関係、その他もろもろをこなすのは容易ではない。
その上、三年生になれば受験まである。
いくら器用であろうと、天才であろうと、無茶にもほどがあった。
「だけど、俺は馬鹿だった。 そんな無茶すれば倒れることくらい、分かってたのにさ」
「‥‥‥倒れたの?」
紗智の質問に、翔は自嘲的な笑を見せながら、力なく頷いて続けた。
「中学三年生の冬‥‥‥丁度俺が高校の受験を終えたくらいかな。 俺は倒れて、三日くらい入院した。 当然、学校・バイトは休んだ。 それだけだったら、何の問題もなかった。 ここまでが、ルチアに話したことだ」
「ええ‥‥‥そうだった
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