第三章 兄弟の真実編
第二話 兄妹・友情と決意
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ついて行った――――――。
***
<PM17:00>
――――――相良翔の家は二階建て6部屋あるアパートの二階一番奥にある206号室である。
広さは2DKで玄関入って目の前がダイニングキッチンとなっている。
玄関入って左側にトイレや浴槽がある。
玄関入って奥には6畳の洋式の部屋が勉強部屋となっており、その左隣に同じ6畳の寝室がある。
ひとり暮らしにしてはとても広い部屋は護河奈々の両親が翔に必要以上の苦労をかけないようにするためだった。
ルチア、奈々、紗智、武、春人は翔の部屋にある縦長の長いこたつに足を入れて座っていた。
畳の感触やこたつの温もり、テーブルの上に置かれてあるみかんは、どこか懐かしさを感じさせた。
「みんな麦茶だけど、どうぞ」
そういうと翔はお盆の上に置かれた温かいお茶の入ったコップを五人の座る位置に置くと床の間に正座で座り、お茶を少しだけすする。
「ふぅ‥‥‥。 さて、何から話せばいいかな」
自嘲的な笑を漏らしながらそう聞くと、ルチアはいつものポーカーフェイスで翔を見つめてながら答えた。
「紗智達もいるから、義妹さんとの本題に入る前に話したほうがいいと思うわよ? あなたに起こったことの全てを‥‥‥。 まだ、私にも話していないことだってあるでしょう?」
「‥‥‥ああ」
全てを見透かしたような言葉に、翔はなんの言い訳もできずに頷いてしまった。
ルチアの言う通り、翔はまだルチア達に全てを話していない。
自分の過去を誰かに言いふらす趣味はもちろんなかった。
同情してもらうつもりも、慰めてもらうつもりも、過去を理由に優しくしてもらうつもりもなかった。
だからこそ、翔は誰にも言わなかった。
だが、今こそ話すときのようだ。
全てを、相良翔と言う人間を話すときが来たのだ。
嘘偽りのない、最低な人間である‥‥‥自分自身を、曝け出すときなのだろう。
「俺‥‥‥」
そう思った翔は俯きながら、叱られた子のように弱々しく、途方に暮れた声で話しだす。
「俺は一年前、ここにいる奈々の人生を、狂わせた」
「っ‥‥‥」
分かっていたかのように奈々は下唇を噛んで、翔と同じように俯きながら話しを聞く。
「‥‥‥ルチアには“途中まで”話したことがあるけれど、俺には両親がいないんだ。
俺は孤児院の前に捨てられていたらしい。
だから生まれて奈々の両親に引き取ってもらえるまでの12年間以上は俺と似たような境遇の男女と共に、孤児院で過ごしてきたんだ。
奈々の両親に引き取られるきっかけは、ある日に奈々の両親が孤
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