第三章 兄弟の真実編
第二話 兄妹・友情と決意
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‥‥翔にとってその言葉を聞くには、まだまだ早すぎた。
なぜなら、灯火町に来てからまだ二ヶ月ほどしか経過していないからだ。
その言葉は、もっと‥‥‥一年以上はかけないと聞けない――――――聞いてはいけない言葉だった。
それを僅か二ヶ月で聞くことになった翔は、その混乱から抜け出せなかった。
「‥‥‥翔。 話の間に入って悪いけど」
すると、翔の心境を悟ってルチアが二人にある提案をする。
「こんな寒い場所で話してるよりも、温かい場所で部外者のいない場所‥‥‥翔の家にでも場所を変えない?」
「‥‥‥そう、だな。 奈々、それでいいか?」
「うん。 急いでるわけじゃないから」
なんとか言葉を発した翔は無言でいつもの帰り道を歩き出す。
それに続いて奈々も荷物の入ったアタッシュケースをもって歩き出す。
「三人はどうするの?」
ルチアは紗智達の方を向き、翔についていくかを聞いた。
本当は聞く必要なんてなかった‥‥‥と言うよりも、聞かずともNO以外の選択肢は紗智達にはない。
なぜなら、この六人の中で部外者なのは紗智達なのだ。
悪い言い方をすれば、翔の何も知らないただの友人だからだ。
だからこそ、彼のあとを追うこと‥‥‥彼の過去に踏み込むことは、ただ友人であると言うだけであるなら不可能だ。
それ以上、彼の過去に踏み込めば、二ヶ月で築き上げてきた関係に支障をきたすのはおそらく免れない。
それでも踏み込むと言うのであれば、生半可な覚悟‥‥‥友達だからなんて理由は捨てるべきだ。
本当の意味で、相良翔の理解者になり、本当の意味で友達になろうと思う覚悟がなければこれ以上踏み込むことはルチアが許さないだろう。
それを紗智、武、春人はルチアの表情で察した。
今、背を向けて帰る選択をしたとしても、誰も責めたりはしない。
それを理解した上で、三人は自分の答えを出す。
「俺は――――――」
「私は――――――」
「俺は――――――」
三人はまるで最初から練習していたかのように同時に答えた。
「――――――翔の友達だから」
そう言って三人は――――――踏み込んだ。
相良翔の過去を、受け入れる覚悟を見せた。
たった二ヶ月で生まれ、築き上げてきた絆は確かに小さいものなのだろう。
だが、その小さなものの価値は大きな絆よりも確かなものだった。
友達思いで、優しくて、いつも助けてくれる。
だけど、いつも自分の辛いことや悲しいことは巻き込まないために話さない。
そんな彼に三人は惹きつけられていた。
だからこそ彼らは、ルチアに無言で頷くとルチアも無言で頷き、翔と奈々の後を
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