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魔法使いの知らないソラ
第三章 兄弟の真実編
第一話 兄妹・焦りと再会
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然その場で立ち止まる。

左右にいるルチアと紗智は遅れて急ブレーキをかけて止まると、慌てるように翔の方を向く。


「翔、どうかしたの?」


紗智がそう聞くと、翔は無言で通学路の先にいる一人の少女を見つめていた。

茶髪のサイドポニーテールの髪にスクエア型のメガネをした少女。

白いワイシャツの上に青いカーディガンを着て、下は白と黒のストライプ柄の膝下まで丈のあるスカート。

身長は紗智(158cm)より少し低いと言ったところだろう。

その少女はこちらを‥‥‥相良翔を優しい表情で見つめながらこちらに向かって歩いてくる。


「なんで‥‥‥お前が‥‥‥」

「翔‥‥‥あの子は?」


どう見ても歳下、恐らく中学三年生程の年齢だろう。

この町で、翔に後輩で紗智やルチアの知らない後輩はいないはずだった。

まして、翔が動揺するような人なんてこの町にはいない。

とすると彼女は、この町とは別の場所、そして相良翔がいた場所。

そこまで推理したところで、ルチアは感づいた。

翔から聞いたことのある、翔の過去。

その中にいる登場人物で唯一、この場に現れて相良翔を動揺させることのできる少女。

推理出来た時、少女は走り出し、翔の胸に飛びついた。

そして嬉しそうな声で少女は言った。


「久しぶり――――――お兄ちゃん!」


その一言ではっきりした。

彼女は‥‥‥相良翔の守りたい、大切な人。

そして、相良翔がこの灯火町に来る最大のきっかけを与えた少女。


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