第三章 兄弟の真実編
第一話 兄妹・焦りと再会
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」
武の言葉に春人も笑顔で頷く。
確かに、この五人の中で翔だけが名前で呼ばれていない。
翔もまた、皆のことは苗字で呼んでいた。
友達を作った経験がほとんどない翔にとって、他者を呼び捨てにするのは違和感だったのだ。
「てなわけで、翔も俺たちのことは名前で呼んでくれ!」
「え‥‥‥あ、ああ。 それじゃ‥‥‥武」
「おう!」
「‥‥‥春人」
「ああ! 改めてよろしく!」
「紗智‥‥‥」
「う、うん。 よろしく、翔」
「‥‥‥ルチアは今までどおりだな」
「‥‥‥別に気にしてないわ」
ぷいっと拗ねたようにそっぽを向くルチアに、四人はつい可愛らしくて笑ってしまった。
気づけば翔とルチアの中で、不安は消えていた。
そして、決意がはっきりとした。
この三人を守るために、これからも大切な日常が続くために絶対に負けられないということ。
そして二人は、この三人との絆が確かなものだと感じたのだった。
***
<PM16:30>
放課後、翔達は五人でいつもの長い通学路を歩いていた。
途中の曲がり角を曲がり、真っ直ぐ歩くとゲームセンターのある商店街に辿り着く。
「さて、今日こそは翔をボコボコにするぜ!!」
「そこだけ聞くと俺の危機だよな」
気合を全身から溢れ出ている武の姿に翔は冷静なツッコミをすると、三人はまるで漫才を見る客のように笑い、春人が言う。
「武は負けず嫌いだからな‥‥‥それにしても、最初は全くゲームできなかった翔が、今やランキングの上位に入るまで格ゲーを極めるなんて驚いたな」
「才能だよね。 私もびっくりした」
春人に続いて紗智も翔の実力を賞賛する。
ゲームなんてこの町にくるまで全く経験がなかった翔は、当初はコンボなども理解できなかった。
だが二週間ほどすると、その才能を発揮させて高難度のコンボを決め、ランキングに名前が乗るほどに成長した。
この五人組最強の格ゲーマスターが翔になっていた。
「だがしかーし! 俺は負けないぜ!!」
「‥‥‥望むところだ」
武の挑戦状に対して翔は、どこか切なそうな表情で返事をした。
まるで、この日が今生の別れかのように‥‥‥そんな、終わりを見ているかのような笑顔だった。
ルチアの右隣で肩を並べて歩く翔の後ろを歩いていた紗智は、彼の右隣に寄り添った。
それは、あまりにも切ない笑顔を見せた翔が、今にも消えてしまいそうだったからだ。
相良翔はここにいる‥‥‥それを確かめたかったのだ。
「‥‥‥ッ!?」
その時、翔は突
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