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魔法使いの知らないソラ
第二章 迷い猫の絆編
第四話 迷い猫の涙
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――――――古い文献を読むと、龍と言うのは遥か昔に複数体、この世界に存在していたとされている。

あるときは虎と対立する龍、あるときは朱雀・白虎・玄武と言う3体の神とともに守護する龍、あるときは九つの頭を持ち、災いと呼ばれた龍、あるときは天から舞い降りて人を災害から救った龍などがいた。

このように、龍には様々な種類が存在する。


「龍を見るのは初めてですが、まさかこれほど大きいとは思いませんでした」


そして彼女、井上静香は蒼き龍の前にたっていた。

龍の眼光から放たれる殺気を、静香はものともせずに冷静に物事を受け入れていた。

そして右手に握ったレイピアを水平に構え、刀身に魔力を込める。

レイピアは魔力によって淡い桜色の光を纏う。

龍は静香を一撃で仕留めるべく、口に魔力を集結させていく。

そして溜め込んだ魔力を炎へと変え、龍は静香に向けて放った。

 全てを燃やし、打ち倒す――――――『|龍放つ獄炎の焔(アオフ・ローダーン・ボルケーノ)』

蒼く光る火線が、長い尾を引いて宙を駆ける。


「‥‥‥驚きました」


そう言うと静香は水平に構えていたレイピアを軽く振り上げ、軽く払い下ろす。

するとどういうことだろうか、龍の一撃は振り下ろされたレイピアに巻き込まれて軌道を大きく逸らされ、屋上から遠く離れて飛んでいき、徐々に消えていった。

そしてそれを通り過ぎるのを確認した静香は冷静に言った。


「龍は元々神様が作り出したものだとも聞いたことがありました。 ですから私程度の存在を殺すことなど造作もないことだと思いました。ですが、正直驚きました」


静香はレイピアは左腰にある鞘に収めて再び話し出す。


「ここまで弱いとは、正直驚きました。 まさか、魔法も発動させていない私のレイピア如きに彈かれる程度の力しかないなんて‥‥‥本当に驚きました。 理由は恐らく、主であるあの少女の実力不足でしょう」


冷静に分析した意見を述べるが、龍は静香の言っている言葉を理解できていないのか、話している最中にすでにもう一発、攻撃を放つ用意をしていた。

静香は呆れたようにため息をつくと、レイピアを抜かずに、ゆっくりと龍に向かって歩み寄る。

龍の殺意も、龍の一撃も、全てを気にせず。

龍は再び『|龍放つ獄炎の焔(アオフ・ローダーン・ボルケーノ)』を静香に向けて放つ。


「無駄です」


そう言うと言葉通り、龍の放った一撃は静香に当たる瞬間に爆散して消滅した。

龍も流石に今の現象には驚きを隠せず、迫る静香から離れる。


「龍が逃げないでください。 いくら主が弱くても、あなたは伝説の龍なのですから‥‥‥私程度の存在から逃げないでくだ
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