第二章 迷い猫の絆編
第四話 迷い猫の涙
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。 彼のあの姿を見せつけられたら、黙っていられなかった」
彼には、不思議な力がある。
周囲の人を惹きつける何かを持っている。
今はまだ小さな力だが、日に日にその力は増している。
現に今、ルチアだけでなく学園の生徒会長までもを動かしている。
それは紛れもない、彼の力だ。
「私は相良翔の友達。 だから、正しいことをしていたら手伝う。 一人ではどうしようもなく苦しんでいるなら、助ける‥‥‥友達って、そういうものって私は思うわ」
「‥‥‥」
うつむきながら、真剣に考えているミウの姿にルチアは微笑みながら左手をそって彼女の頭のうえに乗せた。
ミウがどう言う結論を出すのか、ルチアにはわからない。
だが、ルチア=ダルクにできることは全て行ったつもりだ。
あとは、彼女が自分だけの結論を出すこと。
それがルチアや静香や翔と相対するものであれば、ルチアが責任をもって‥‥‥この場でトドメを刺す。
それが、相良翔の友達として魔法使いとしてルチアのできることなのだから。
「‥‥‥お姉さん」
「何?」
そしてミウは、答えを出した。
「お姉さん。 ショコラを止めるには、どうしたらいいの?」
それは紛れもなく、相良翔達と同じ想いである証だった。
その答えにルチアは安堵の息を漏らすと、自分の知る知識をミウに言った。
「生物系魔法使いは、主の意思に魔獣が従うものとされてる。 今回は魔獣の意思が主の意思よりも強かったから暴走した」
前にルチアは言った。
魔法使いは、その人の心や意思次第で強くも弱くも、脆くも強固にもなりうるものだと。
魔獣もまた同じだ。
魔獣の意思次第で、主の意思を上回ることもできる。
今回がその例だ。
今は魔獣の意思がミウの意思を上回った。
だが逆にいえば、ミウがその意思を上回ることができれば暴走は止められるはずだ。
「あなたが心の底から祈るのよ。 あの黒猫を、ショコラを助けたいと強く思うの。 魔法は、強い意思に答えるから」
「うん!」
力強い返事をするとミウは瞳を閉じ、ショコラのことだけを考える。
それ以外のものは全て雑念と考え、ただショコラと言う大切な友達を助けたいと言う想いに費やす。
「‥‥‥相良君、あとはあなただけよ」
ルチアもまた、相良翔が生きて戦いを終えることを祈った。
気づけばルチアにとって、相良翔は大きな存在となっていたからだ。
人生にとって、最初の友達‥‥‥新たな世界を見せてくれた友達。
そばにいるだけで、何かが起こる予感や期待。
今まで感じなかった想いを、彼は与えてくれた。
きっとこ
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