第二章 迷い猫の絆編
第四話 迷い猫の涙
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伝いなんてしない。 間違った道を、そのまま進ませるようなことはしない。 どんなに辛くても、悲しくても、例え喧嘩になったとしても、止めなければいけない! だって、友達は友達をどんな手段を使ってでも正しい道に戻してあげるために存在するから!」
ルチアにとって、友達はいつだって助けてくれる存在だった。
――――――相良翔、彼は最初の友達で、彼のおかげでルチアは孤独という日々から救われた。
彼がいたからこそ、今の人生が幸せだと感じた。
だから今度は、彼が苦しんだときは助けたいし、守ってあげたいと心の底から思っている。
そしてもしも彼が間違った道に進もうとしていたら、全身全霊で彼を正しい道に戻そうとする。
「今、どうして相良君があなたやあなたのお友達と戦っているかわかる? どうして敵対するか、わかる?」
「お兄ちゃんが邪魔をする理由‥‥‥」
ミウはわからなかった。
彼女にとって、相良翔はショコラを傷つける存在という認識しかなかったからだ。
だがルチアは答えられる。
相良翔と言う人物が、どう言うものなのかを知っているからだ。
「彼にとってあなたも、ショコラと言う黒猫も、あなたの魔獣のあの蒼い龍も友達なの。 だから彼は友達が間違ったことをしているから止めてる。 魔法使いとしてでもあるし、兄と慕われたからでもあるけれど、彼があなたを止める最大の理由は――――――あなたが、友達だからよ」
「え‥‥‥」
ルチアの言葉を聞いた瞬間、ミウはショコラと翔の方を無意識に向いた。
今、翔はショコラと何か話しをしながら刀と爪をぶつけ合って戦っていた。
きっと今もなお、ショコラを止めようとしているのだろう。
その表情は、真剣そのものだった。
必死に、必死に言葉をかけながら戦う彼の姿にミウは見惚れていた。
「私はあの人と出会ってまだ一週間しか経ってないけれど、その間に彼の色んなところを知ったわ。 彼は真面目で、努力家で、お人好し。 誰にでも優しいのに、誰かと接するのが少し苦手。 いつもみんなのことを大切に思っていて、助けてあげたり、守ったりしてあげてる。 それって、本当に普通のことで、誰でもやろうと思えばいくらだって出来ることだけど、今時それをできる人間は珍しい。 時代性による人の変化なのでしょうけれどね」
ルチアはミウの目の前まで歩み寄ると、優しい笑顔で彼女に言った。
「それでも、あんなに必死になって友達を止めようとする人、きっと稀な存在でしょうね。 自分以外の誰かのために傷ついて、恨まれて、憎まれて、嫌われて、殺されかけて‥‥‥それでも止めようとする彼は本当に凄いと、私は思うわ。 そして私達は、そんな彼の姿を見たから助けたいと思ったの
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