第二章 迷い猫の絆編
第四話 迷い猫の涙
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さい」
それは、龍に対して高い期待を抱いていた静香からの願いだった。
龍には主以外の人が喋る言語を理解できないので、その願いも聞き入れてもらえないのだが。
だが、静香にはもう一つ、ある興味があった。
それは、誰もが知る龍に存在するある部分。
「少し、失礼しますね」
そう言うと静香は両脚に魔力を集め、踏み込みと同時に爆発させ、それを繰り返して速度を上昇させて龍の目の前に高速移動させる。
そして両脚に一気に魔力を込めて爆発させ、跳躍力を上げて龍の顎まで飛ぶ。
右手を伸ばし、龍の顎の鱗の一つに触れようとする。
――――――龍の鱗は80+1、合計81個存在する。
その1つとは、全ての鱗と逆向きの鱗――――――逆鱗のことである。
静香は無謀にも、その逆鱗に触れようというのだ。
『逆鱗に触れる』と言う言葉を知っているだろうか?
龍は元々温厚で普段は人を襲わないのだが、逆鱗に触れるのを嫌い、触れたときは災いを起こすとされている。
このようなことを日本人は、目上の人たちに逆らって激しい怒りを買うと言う意味に置き換えて使われている。
そのように、逆鱗に触れると言うことは龍を本気にさせてしまうと言うこと。
つまり今、静香が行っている行為は自殺行為に近いものなのだ。
だが、それでも静香がそれをするのは、龍への期待を潰さないためだ。
龍は最強であって欲しい。
今だ本気を出していない静香に負けて欲しくないのだ。
「私に見せてください。 龍と言う存在の、本気を」
そう言って静香は、龍の逆鱗に触れた。
『グガアアアアアアアッ!!!!』
「ッ!?」
一瞬の出来事だった。
逆鱗に伸ばした手の爪先が掠る程度での反応だった。
鼓膜が破裂しそうなほどの音と、大気が震えるほどの衝撃が響く。
それらは全て、龍が発生させたものだった。
静香は瞬時に地面に着地すると龍から離れるように後ろに下がった。
そして鞘に収まっているレイピアの柄を握り、居合切りに近い構えのまま、龍の出かたを伺う。
龍は鱗と鱗の隙間から膨大な魔力を放出させる。
膨大な魔力は龍の全身を包み込み、まるで鎧のように纏う。
先ほどとは比べものにならないほどの殺気と威圧感が、静香に襲いかかる。
「これが、龍ですか‥‥‥期待通りですね。 だからこそ、倒しがいがあると言うものです」
そう言うと静香は鞘からレイピアを抜き、龍に向けて真っ直ぐ構える。
「井上静香、参ります!!」
ダンッ!!と力強く地面を蹴ると静香は龍に向かって突撃した。
静香は龍との距離ギリギリで再び地面に両脚を付け、魔
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