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魔法使いの知らないソラ
第二章 迷い猫の絆編
第三話 迷い猫の怒り
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生活で運動なんて皆無のはずのミウ。

そんな彼女が、年上の男子、しかも魔法使いの速度を上回ることなんてできない。

できるとしたらそれは、彼女が魔法使いとして覚醒したと言うこと。


「そこをどいてくれ。 ショコラを止めないといけないんだ」

「ダメだよぉ! 絶っ対にダメぇ!!」

「ッ!? ‥‥‥ミウちゃん‥‥‥」

『ミウ‥‥‥』


翔もショコラも、ミウのその姿に呆然としてしまう。

弱々しく、脆い体で必死に大切な友達を守ろうとする、その姿。

両腕を左右に広げ、自分よりも大きな友達を守ろうとしている。

恐怖なのか、疲れなのか、ミウの全身はガクガクと震えて、立つのもやっとの様子だ。

そんな彼女を踏ん張らせているのはきっと、大切な友達を失いたくないという、強い気持ちなのだろう。


「ショコラは、私の一番大切な友達なの! 私の、友達なのッ!!!」

「ぐっ!」


叫ぶミウに答えるように、ミウの全身から蒼い光――――――魔力が溢れ出て翔は後ろに吹き飛ばされる。

なんとか着地すると、ミウが蒼き魔力に包まれていくのを目の当たりにする。


「誰も、お兄ちゃんでも、ショコラを傷つける人は許さない!!私が、絶っ対に許さないッ!!!」


ミウを包み込む蒼い魔力の光は螺旋のように渦を巻き、天まで伸びる。

そして天まで伸びると魔力の光は一旦、姿を消す。

‥‥‥だが、しばらくすると天から巨大な竜巻がミウに向かって落下してくる。


「ミウちゃんッ!」


翔は高速移動魔法――――――『|金星駆ける閃光の軌跡(ブリッツ・ムーブ)』でミウのもとへ走り出す。

‥‥‥だが、竜巻の速度は相良翔の移動速度を大きく上回り、あっという間にミウを飲み込むと、翔は落下してきた衝撃と爆風によって吹き飛ばされる。


「ぐ‥‥‥ミウちゃん‥‥‥」


ミウがどうなるのか、それは竜巻が消えなければ分からない。

だが翔は、万が一のことを考えて天叢雲をしっかりと握り、立ち構える。

そして、竜巻が消えると‥‥‥翔の前、とんでもないものが現れた。


「なっ‥‥‥嘘‥‥‥だろ‥‥‥」


ミウを守るようにミウを囲むように渦を巻く巨大な生物。

蛇のように長い胴体と尻尾、肌は鋭く大きな鱗がびっしりと付けられ、まさに鎧のようだった。

そしてその大きな体をソラへと羽ばたかせるための大きく、力を感じさせる翼。

鋭い眼光からは圧倒的な威圧感を感じさせる。

その姿は、まさに伝説上の生物――――――『龍』だった。

その龍は、小鳥遊猫羽と言う小さな存在を守るように翔を睨みつける。

つまり、あの龍はミウが魔力を使って出したもの。


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