第二章 迷い猫の絆編
第三話 迷い猫の怒り
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っていたかのようなタイミングに翔は刀身に魔力を一気に込めて、ショコラの懐に潜り込む。
「喰らえッ!!」
翔は大量の攻撃系魔力を外へ撒き散らしながら『|土星与えし巨人の鎧(ウィルダネス・シュラーク)』によって強化された腕力で自身の体をコマのように回転させる。
更に刀身に纏った白銀の技『|天星光りし明星の一閃(レディアント・シュトラール)』が撒き散らされた攻撃系魔力と激しく擦れ合い、膨大な摩擦を発生させて白銀の竜巻を発生させる。
天星と土星を組み合わせた超高等魔術。
全てを飲み込み、切り裂いていく白銀の嵐――――――『|天星吹き荒れる龍嵐(レディアント・シュトゥルム)』
白銀の竜巻は、ショコラの懐を切り裂きながら天に伸びていく。
ショコラは回転しながら宙を舞い、苦しそうに地面に落下していく。
「‥‥‥」
翔は、悲しそうな表情をしながら刀を両手で握りなおす。
そして魔力を刀身に込めながら、魔法――――――『|天星光りし明星の一閃(レディアント・シュトラール)』を発動させる。
いつもなら、勢いよく走り込んで切り裂くはずの動きを、翔はゆっくり‥‥‥ゆっくりと歩きながら発動させていた。
それは、この一撃を放てば確実にショコラを倒せると確信しているからこその迷いだった。
今、この暴走状態のショコラにトドメを刺さなければ、病院が壊れるどころの騒ぎではなくなる。
そうなれば、悲しむ人が増える。
それは絶対に止めたい。
だが、止めるためには、ミウの大切な友達をこの手で倒さなければいけなくなる。
そうなればきっと、ミウは心を痛めるだろう。
そう考えるのは容易だった。
翔の中には、様々な葛藤があったのだ。
そして葛藤は行動にも現れ、翔の進む足を遅くしていたのだ。
「‥‥‥」
だが、翔は決心した。
ここで、ショコラを倒す決意。
翔は勢いよく駆け出し、地面に倒れるショコラに向かって一直線に向かう。
このままなら、間違いなくショコラは切り裂かれる。
そう‥‥‥思っていた――――――。
――――――「ダメェッ!!!」
だが、翔は切り裂くことができなかった。
目の前に来たところで、翔は動きを止めたのだ。
聞こえた、少女の声と‥‥‥目の前に現れた、その少女の姿で。
「ミウちゃん‥‥‥」
「やめて‥‥‥お兄ちゃん」
翔の前に立ちはだかったのは、つい先ほどまで意識を失っていた少女、小鳥遊猫羽だった。
ミウが翔を止めたのは問題ではない。
問題は――――――魔法で強化された翔の脚力を超える速度で翔よりも早くショコラの前に移動できたこと。
病室
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