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魔法使いの知らないソラ
第二章 迷い猫の絆編
第二話 迷い猫の痛み
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「ふぅ‥‥‥」


それからしばらく、翔は様々な技の練習をした。

翔の魔法は、複数の能力を持ち合わせている。

刀を使って発動するもの、武器を使わずに発動するものなど、様々。

その様々を使いこなすため、翔は日々魔法の特訓をしていた。

魔法使いとして関わることから避けるつもりだったにも関わらず、彼はこうして魔法に手をつけた。

恐らく、麻薬のようなものなのだろう。

この力に手を染めれば、身を滅ぼすことになるかも知れない。

それでも、自分に秘められた可能性があるのなら、その限界まで見てみたいと言う強い欲求があったのだろう。


「さて、帰るか」


そう言うと右手に持たれた刀は空間が歪むと同時に消えた。

夕飯のことを考えながら、廃墟を去ろうと後ろを向いてあるきだそうとした。


――――――『そこの少年、聞こえますか?』

「ッ!?」


その時、背後から女性の声が聞こえた。

反射的に翔は振り向くと同時に右手に天叢雲を召喚して握る。

気配が今までなかったからこそ、もしかしたらと思ったからだ。


「‥‥‥な」


だが、そこにいたのは翔の予想の斜め上に行くものだった。

そこにいたのは、黒い毛並みをした四本足の動物‥‥‥黒猫だった。

翔を見つめながらその猫は、喋ったのだ。

翔は思い出す。

朝、友人の桜乃春人が話した『喋る黒猫の噂』だ。

その噂の猫が間違いなく目の前にいる猫なのだろうと理解した。

そして猫は翔に向けて言う。


『私の主を守って』

「主‥‥‥やっぱりお前が、噂の」


春人から聞いたものと全く同じ内容だった。


「お前の主って‥‥‥誰だ?」

『‥‥‥』


翔の質問には答えなかった。

ただ、自分の伝えたいことだけを伝えたかっただけのようだ。

そして無言で翔に背を向けると、猫は走り出す。


「あ、おい!」


翔はその黒猫のあとを追いかけだした。

もしかしたらあの猫は、主のもとに向かっているのではないかと思って――――――。



                  ***




<AM0:00>


「ここは‥‥‥」


走り出してかなりの時間が経過した。

気づけば翔はこの町で一番大きな病院『灯火病院』にたどり着いていた。


「まさか‥‥‥ここに主が」


黒猫は病院に向かって走ると、なんと白い壁にジャンプし、爪を壁に引っ掛けてロッククライミングの如く登っていった。


「なんと!?」


忍者か!?などとツッコ
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