第二章 迷い猫の絆編
第二話 迷い猫の痛み
[2/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
***
「ふぅ‥‥‥」
それからしばらく、翔は様々な技の練習をした。
翔の魔法は、複数の能力を持ち合わせている。
刀を使って発動するもの、武器を使わずに発動するものなど、様々。
その様々を使いこなすため、翔は日々魔法の特訓をしていた。
魔法使いとして関わることから避けるつもりだったにも関わらず、彼はこうして魔法に手をつけた。
恐らく、麻薬のようなものなのだろう。
この力に手を染めれば、身を滅ぼすことになるかも知れない。
それでも、自分に秘められた可能性があるのなら、その限界まで見てみたいと言う強い欲求があったのだろう。
「さて、帰るか」
そう言うと右手に持たれた刀は空間が歪むと同時に消えた。
夕飯のことを考えながら、廃墟を去ろうと後ろを向いてあるきだそうとした。
――――――『そこの少年、聞こえますか?』
「ッ!?」
その時、背後から女性の声が聞こえた。
反射的に翔は振り向くと同時に右手に天叢雲を召喚して握る。
気配が今までなかったからこそ、もしかしたらと思ったからだ。
「‥‥‥な」
だが、そこにいたのは翔の予想の斜め上に行くものだった。
そこにいたのは、黒い毛並みをした四本足の動物‥‥‥黒猫だった。
翔を見つめながらその猫は、喋ったのだ。
翔は思い出す。
朝、友人の桜乃春人が話した『喋る黒猫の噂』だ。
その噂の猫が間違いなく目の前にいる猫なのだろうと理解した。
そして猫は翔に向けて言う。
『私の主を守って』
「主‥‥‥やっぱりお前が、噂の」
春人から聞いたものと全く同じ内容だった。
「お前の主って‥‥‥誰だ?」
『‥‥‥』
翔の質問には答えなかった。
ただ、自分の伝えたいことだけを伝えたかっただけのようだ。
そして無言で翔に背を向けると、猫は走り出す。
「あ、おい!」
翔はその黒猫のあとを追いかけだした。
もしかしたらあの猫は、主のもとに向かっているのではないかと思って――――――。
***
<AM0:00>
「ここは‥‥‥」
走り出してかなりの時間が経過した。
気づけば翔はこの町で一番大きな病院『灯火病院』にたどり着いていた。
「まさか‥‥‥ここに主が」
黒猫は病院に向かって走ると、なんと白い壁にジャンプし、爪を壁に引っ掛けてロッククライミングの如く登っていった。
「なんと!?」
忍者か!?などとツッコ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ