第一章 日常と非日常
第五話
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トに手を入れてあるものを取り出しながらルチアの目の前まで近づく。
そして立ち止まるとポケットから出した、スマートフォンをルチアに見せる。
「何?」
「携帯、ルチアも持ってるだろ?」
「ええ。一応‥‥‥」
ルチアはスカートの左ポケットから黒いスライド式の携帯を取り出した。
タッチ式ではなく、ボタン式の携帯にルチアのイメージカラーの黒色が全面につけられている。
「アドレス、交換しないか?」
「え、あ‥‥‥えと‥‥‥」
その質問に、ルチアは言葉を詰まらせる。
それもそのはず、ルチアはアドレス交換の経験が今まで一度もないのだ。
最初のアドレス交換の相手が、まだ知り合って一日ほどしか経っていない男子だと思うと、言葉では言い表せない緊張感があった。
心臓の鼓動が加速し、呼吸も僅かながら乱れていく。
そして真冬の中で上がる体温。
まるで風邪でもひいたかのような感覚に、ルチアはどうすればいいのかと心の中で慌てていた。
「ルチアの気持ちも分かった。 魔法使いとして守りたいものがあるのも、昨日の戦いで理解した。 だけど俺は、全部の事件に関わることはできない。 だから、本当に必要な時だけ呼んでくれ。 その時は力を貸す。 それでいいか?」
「え、ええ。 ありがとう、相良君」
そう言うと翔とルチアは互いの携帯の機能『赤外線交換』を選択すると、受信・送信を交互に行った。
「‥‥‥」
「?」
不意に翔はルチアの顔を見ると、その顔は紅く紅潮していた。
風邪でもひいているのだろうか?‥‥‥と、少しだけ心配していたのだった。
***
<放課後>
冬の夕焼けは、見惚れてしまいそうなほどに美しく、いくらでも眺めていられそうだった。
今日一日の嫌なことを全部忘れてしまいそうなほどに綺麗なソラは、どこまでも広がっていた。
「オッシャー! 明日っから土日だ!! 休みだー!!」
「空気ぶち壊しだよお前‥‥‥」
黄昏るような雰囲気を一気に破壊させたのは、翔の友人である『三賀苗 武』だった。
翔は武、春人、紗智と言ういつもの3名と共に放課後の通学路を通って家に向かって歩いていた。
登校時に学生全員が通る大通りをお互い、同じペースで歩く。
普段のペースで歩けば5分ですすめる距離を、ずっと話しをしていたいと言うよくから、10分かけて歩いていく。
ゆっくりと歩いていくからこそ、どこか寄り道したいなと言う欲もあった。
だが、互いの事情を考えて遠慮しあう。
そう考えていると、武がある提案を出す。
「うっし!
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