第一章 日常と非日常
第五話
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いくら器用でも、体力があっても、順応性があっても、いつかはガタがくる。
そして、翔にもガタがきた。
その後、翔は倒れて3日ほど入院したことがある。
それに心配した義妹は、翔が倒れたことが原因で人生が変わってしまったのだった――――――。
「俺はそのことで|義妹に引け目を感じてな‥‥‥あの瞬間から、俺は人との距離がわからなくなった。 家族とか、兄妹がなかったから別に大きなショックはなかったはずなのに‥‥‥でも、あの時から変な違和感が深く根付いて、それが人間関係にも生じたんだ」
「勧誘を断ったのはもしかして‥‥‥」
「ああ。 あの人達と、共に戦うっていうのが‥‥‥できない。 それに、俺は色んなものをやり直すためにここにきたんだ」
過去に、大切な人の人生を変えてしまった。
それをきっかけに、人との関わり方がわからなくなり、全てを失った。
だからこそ翔は、ここで全てをやり直そうとしたのだ。
普通の人間が過ごす平凡な日常、そして普通に友達を作って普通の青春を過ごそう。
そう思ってこの町に来たのだ。
そしてまた、義妹達と再会して本当に全てをやり直そうと‥‥‥そう思っていたのだ。
「俺は今度こそ、あの家族の一員になりたいんだ。 そのために、この町に来たんだ。 魔法使いとして事件に時間を費やすことは、悪いけどできない」
「‥‥‥そうだったの」
翔は話し終えると一息つくために深呼吸をした。
それを見たルチアは、ゆっくりと口を開いた。
「ごめんなさい。 私は、あなたのことを考えないで色々と聞きすぎた」
「いいさ。 誰かに言って、少しスッキリしたしな」
言葉通り、清々しそうな笑を零す翔に、ルチアはその表情を変えた。
安堵したような、小さな笑を零したのだ。
「ふふっ」
「え‥‥‥どうした!?」
左手で口元を軽く押さえながら笑う姿に、翔は驚きを隠せなかった。
笑い終えるとルチアは小さな笑のまま話した。
「私も、人と接するのは苦手なの」
「え、そうなのか?」
「ええ。だから毎年毎年、クラスで孤立して友達なんていないの。 あの七瀬紗智も、できれば友達になりたいけど、きっかけが掴めなくて‥‥‥ね」
「そうだったんだ‥‥‥」
不思議な親近感がお互いに生まれた。
お互いに、誰かと接するのが苦手で、きっかけが掴めない。
その割には寂しがりで、誰かにいて欲しい。
そんな想いが、お互い似ていたことに翔も笑を零してしまう。
「なら、似たもの同士だな」
「ええ。そうね」
「‥‥‥それじゃ」
「‥‥‥?」
翔はズボンの右ポケッ
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