第一章 日常と非日常
第五話
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は極力避けようと思っていた。
数時間前、『井上 静香』に連れられた訪れた建物に住んでいた女性『斑鳩 瞳』からの勧誘、人々を苦しめるような魔法使いの制圧をする人たちの一員になって欲しいと言うものを翔は断っている。
そのため、魔法使いによる事件に翔が関わることは今後はないであろうと考えていたのだ。
断ったことへの罪悪感は今だ拭いきれずにいるとしても、とりあえずは再び平凡な日常に戻れるのだろうと思った。
「―――相良君」
「ッ!?」
‥‥‥そう。この瞬間までは、平凡な日常が続くと思っていたのだ。
彼女の声を、聞くまでは――――――
「ルチア‥‥‥」
「相良君、話しがあるの」
翔たちの背後から声をかけてきたのが、相良翔が魔法に出会うきっかけだった少女にして、翔と同じクラスで隣の席の『ルチア=ダルク』である。
彼女は、いつもと変わらないポーカーフェイスで翔に声をかける。
「ルチアちゃん‥‥‥」
ルチアと何年も同級生だった紗智は、彼女が翔に声をかけたことに驚いた。
武と春人もまた、ルチアと言う少女が人と接しないと言うことを知っているからこそ、目を大きく見開いて翔とルチアを見ていた。
「話しってなんだ?」
「‥‥‥ここでは話せないような話題だから、ついて来て」
「‥‥‥分かった」
ルチアの一言で、これが魔法に関するような話題なのだろうとすぐに察した翔は、真剣な表情になると廊下を歩いていくルチアのあとを追いかける。
「七瀬、三賀苗、桜乃。 悪いけど今日は昼、行けそうもないから俺抜きで頼む」
「分かった。 それじゃ二人共、行くぜ」
武は何も聞かずに頷くと、紗智と春人を連れて購買に向かっていった。
どこか納得がいかない様子の紗智は、翔とルチアが見えなくなるまでその背中を眺めているのだった。
***
「寒‥‥‥っ」
「そう? いつもと変わらないわよ?」
辿りついた|人気のない場所に、翔は全身を震わせる。
ルチアは全く表情を崩さず、平静としている。
翔とルチアがたどり着いた場所とは、この学校の屋上だった。
お昼休みだが、冬の真っ只中のため、屋上で休憩と言う考えの生徒は一人もいないらしく屋上は翔とルチアの人影しかない。
涼やかな風が吹き抜ける中、翔とルチアはまるで決闘でもするかのように向かい合っていた。
「なんでこんな寒い場所なんだ? もっといい場所があっただろう?」
「|人気のない場所、私はここしか知らないから」
「‥‥‥まぁいい。 それで、話しっていうのはやっぱり
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