第一章 日常と非日常
第三話
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つ、闇を纏わせた一閃――――――『|漆黒を刈り取る者(デス・シュトラーフェ)』
「せいッ!!」
「はぁッ!!」
気合一閃、翔とルチアは左右から斜め斬りを放つ。
完璧と言えるほど、絶妙なタイミングで二人の剣撃がシンクロすると、二筋の光の帯を引いて狼男の体を切り裂く。
激しい衝撃と狼男の悲鳴が響き渡る。
「グ、グォォオオオオッ!!!!」
「行くぞッ!!」
「トドメッ!!」
狼男は最後の力を振り絞って両腕の爪に魔力を込めると翔とルチアを貫かんとばかりに一直線に放つ。
翔とルチアは眼前に迫る一撃を、二人の持つ強力な一撃を対抗させる。
このタイミングのために、二人はすでに脳の中で|魔法文字を組み合わせていた。
別に作戦を立てたわけでもないにもかかわらず、二人は瞳を交わすだけでそれを理解した。
以心伝心と言わんばかりの一体感に、翔とルチアは言葉にできないような官能的な感覚を覚える。
そして二人の一撃は交錯し、新たな一撃を作り出す。
「「はぁぁぁッ!!!」」
白銀と漆黒が交わり、二つの一閃は重なって強力な一閃となる。
交差して放たれたのは、星と闇の一閃。
全てを産み出し、全てを飲み込む、決して交わることのないもの同士が重なり合って放たれる軌跡の一閃。
二人の魔法の合わせ技――――――『|星屑討つ漆黒の一閃(フェアニヒテン・クロイツ)』
放たれた一閃は、十字架を作るように切り裂き狼男を消滅させた。
そして、消滅した狼男を見届けて、翔とルチアの戦いは終わった――――――。
***
戦いを終えた翔とルチアは、元の冬服に姿を戻し、武器も消滅した。
疲れのあまり、二人はしばらくその場に座って動かなった。
「終わった‥‥‥んだよな?」
「ええ。 私達の勝ちよ」
冷静に淡々と翔の質問に答えるルチア。
疲れているにもかかわらず、何事もなかったかのように涼しい表情で答えるルチアに翔は流石は熟練者だと思った。
「‥‥‥さて、そろそろ帰ろう」
「ええ。 そうね」
ある程度疲れが取れた二人はゆっくりと立ち上がり、その場を去ろうとした。
「――――――待ってください」
「「ッ!?」」
突如聞こえた、女性の声に翔とルチアは再び警戒態勢を取る。
今まで気配がなかったが、突然現れたことに驚きながらも暗い影から現れる女性の姿を確認する。
「‥‥‥え?」
だが、翔はその人物に目を大きく見開く。
忘れもしない、この町の学校で始めて声をかけてきた人。
「井上‥‥
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