第一章 日常と非日常
第三話
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翔は一人、狼男の左右から迫る爪をたった一本の刀で捌ききっていた。
限界なんてとうの前に超えている。
だが、止まるわけにはいかない。
止まれば間違いなく貫かれて殺される。
一切の雑念を払い、魔法と剣撃に全ての意識を集中させる。
今の速度では、一撃を当てるに達しない。
だから翔は、激しいぶつかり合いの中で、なんと詠唱を始めた。
脳に流れる膨大な|魔法文字を複雑に組み合わせて、魔法を作り出す。
目にも止まらぬぶつかり合いの最中にそれを行えるのは、熟練者をおいてほかにいないだろう。
だが翔は、今の状況ではこれしか生き残る手段がないと判断し、限界まで力を込めて発現させた。
「雷より求めよ、神速の光!!」
「ガウッ!?」
その瞬間、狼男の爪が翔の眼前まで迫った。
だがその一撃は当たることなく、空を貫く。
そして翔を金色の光が包み込み、閃光の如く移動する。
相良翔の持つ、もう一つの力。
金色の雷を纏い、閃光のように駆け抜ける高速移動の魔法――――――『|金星駆ける閃光の軌跡(ブリッツ・ムーブ)』
「せいッ!!」
「ガァァァッ!!??」
そして狼男の背後から、翔の刀が振り下ろされる。
切り裂かれた狼は右膝を地面につけて怯む。
‥‥‥隙ができた瞬間、ここしかない。
「今だ―――ルチアッ!!」
「ええ!」
翔はルチアとは反対方向に下がり、遠い間合いを取る。
距離をとったのを確認したルチアは、その手に集めた魔法を、怯んだ狼男に向けて放った。
「はぁぁぁああああッ!!」
力強い声と共に、黒く収束した闇が真っ直ぐ狼男に向けてレーザーのように放つ。
ルチアのもつ、長距離系魔法。
収束し、放たれる闇――――――『|夜天撃つ漆黒の魔弾(ヴォーパル・インスティンクション)』
「グ‥‥‥ガァァァァッ!!!!」
大地を削り取りながら迫る闇は、狼男に直撃すると、狼男は苦しそうな悲鳴を上げる。
この魔法は破壊力に長けており、強化された狼男の肉体であろうと、容赦なく破壊していく。
そして削がれた強化体は脆くなっていった。
「相良君、決めるわよ」
「分かった!」
左右から挟み撃ちで、翔とルチアは刀身に魔力を込めながら大地を蹴り出す。
魔力を込めた刃は、二人が持つ魔力色の光を放ち、夜の世界を照らす。
「「はぁぁぁぁッ!!!」」
二人の声が重なると、両サイドから同時に剣撃を繰り出す。
翔が放つ、光り輝く裁きの一閃――――――『|天星光りし明星の一閃(レディアント・シュトラール)』
ルチアが放
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