第一章 日常と非日常
第三話
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たからだ。
そんなことをするのは、ただ一人――――――ルチア=ダルクだ。
「てめぇぇッ!!」
恨めしそうな声をルチアに向けて放つが、ルチアは無関心の表情で翔に言う。
「トドメを刺して。 相良君」
「ああッ!」
翔は遠い間合いから、狼男のもとへ走ると刀身が白く光りだす。
そして光を纏った刀を、翔を面の構えから振り下ろす。
「せいッ!!!」
気合一閃、翔は狼男の懐に飛び込むと、魔力の溜まった刀を横薙ぎに繰り出す。
繰り出された刀からは、白い光の残影が残る。
それほどの速度で放たれた一閃は、狼男の防御を抜けて一気に切り裂く。
光り輝く裁きの一閃――――――『|天星光りし明星の一閃(レディアント・シュトラール)』
「ぐ‥‥‥ぁ‥‥‥」
切り裂かれた狼男はその場で、力なく倒れた。
翔は男から背を向けると、刀は光の粒子となって消えていった。
そしてルチアのもとに歩み寄る。
「ルチア、大丈夫か?」
「大丈夫よ。問題な‥‥‥ッ」
ルチアは、先ほど狼に噛まれた部分の痛みで表情を歪める。
そして激痛のあまり、その場で膝をつく。
「‥‥‥少し、じっとしててくれ」
「え‥‥‥?」
翔は静かにそう言うと、両手に意識を集中させる。
呼吸を静かに、ゆっくりと行ない、集中力を高める。
ここからは難易度の高い業をするからこそ、油断は許されない。
脳に流れる膨大な|魔法文字を複雑に組み合わせ、新たな魔法を発現させる。
「湖より求めよ、癒しの光!」
そう言うと、翔の両手は水色の魔力光に包まれる。
そして両手で、ルチアの両腕の傷口を抑える。
「ッ!?」
すると不思議なことに、全ての傷がシュウウ!と音を立てて塞がっていく。
湖が与える救済の加護にして、治癒や修復能力を持つ高等魔法――――――『|水星癒す聖なる光』
みるみるうちに癒えていく傷口に、ルチアは驚きが隠せなかった。
「相良君‥‥‥どうして‥‥‥」
「え?」
魔法を知るルチアには、翔の発現させた力はあまりにも異常だった。
魔法使いは一人一つの魔法を使う。
武器を使うか使わないか、攻撃か防御か癒しかなど、それは一つのみだ。
だが相良翔は攻撃と、回復までもを使う魔法使いだった。
「なんで、治癒魔法を使えるの?」
「なんでって言われても‥‥‥なんか頭の中に傷を癒す方法があったから、戦いが終わったら使おうかなって思っててさ」
「‥‥‥」
本人にも分からない、異能の力。
それを初
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