暁 〜小説投稿サイト〜
魔法使いの知らないソラ
第一章 日常と非日常
第二話
[7/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話



「狼‥‥‥男」


 全身は青白い毛並みに包まれ、両手は鋭利な爪と強靭な肉体となっている。

 鋭い牙に、血のように紅い瞳。

 その姿は、まさしく『狼男』

 そしてその姿となり、強靭な肉体を得た彼はルチア/ワルキューレの刃を握り締めた。


「俺の魔法は肉体強化と召喚の二つだ。  さぁ、始めようぜ?」

「くっ‥‥‥!」


ルチアは右足を軸に体を回転させ、狼男の顔面に回し蹴りをして怯ませると、その隙に鎌を握ってバックステップをとって後ろに下がり、彼と距離を取る。

そして距離を置き、武器を構えて隙を作らないように意識を集中させる。

油断なんてできない。

ここからは、本当の殺し合いが始まる。

刈るか、喰われるかのどちらか。


「‥‥‥!」


覚悟を決めたルチアは、再び走り出す。

そして彼の真上に飛ぶと、左に一回転して鎌を振り下ろす。

その鎌に、闇の力を込めて切り裂く。

 闇を纏わせた一閃――――――『|漆黒を刈り取る者(デス・シュトラーフェ)』

闇の一閃は真っ直ぐに狼男へと迫る。


「ぐあっ‥‥‥っ!」


狼男はその一撃を両手で受け止めようとしたが、うけきれずに切り裂かれる。

切り裂いたとはいえ、斬撃は直撃を避けて浅めに入った。


「‥‥‥ッ!?」


一撃を入れたルチアは、表情を歪める。

なぜなら、切り裂いた瞬間、ルチアの両腕を鋭い激痛が襲いかかったからだ。

両腕を見ると、先ほどの狼が二匹、ルチアの両腕に噛み付いていた。

背後から襲われているところを見ると、恐らく仕込んでいたのだろう。


「ぅ‥‥‥ぁ‥‥‥ッ」


噛み付いた狼たちは、振り払っても離れない。

無理に引き剥がせば、両腕を持っていかれるだろう。

だからこそ、無理な抵抗はできない。


「‥‥‥それなら!」


ルチアは瞳を閉じて、心を鎮める。

そして脳からPCの情報のように流れ出る『魔法文字(ルーン)』を組み合わせていく。

組み合わさったルーンを、一つの名とした詠唱する。


「夜天より降り注げ、闇の聖槍!!」


詠唱の瞬間、天から漆黒の太く鋭い槍が二本落下してきた。

その槍はルチアの腕を喰らう狼二匹を貫いて、消滅させた。

 ルチアの持つ魔法、天から降り注ぐ闇の聖槍――――――『|夜天貫く闇の聖槍(シュメルツ・ぺネトレイト)』


「はぁ、はぁ、はぁ‥‥‥っく」


両腕に力が入らない。

狼に噛み付かれたからだろう、出血して血が止まらない。

さらに麻痺したかのような痺れ。

これでは武器が持てない。


「さっきの狼には、麻
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ