第一章 日常と非日常
第二話
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着ている。
細く、スラッとした長い脚はまるでモデルのよう。
その細く、滑らかで綺麗な肌は、金縛りのように動けない彼が見惚れる程だった。
知らない人‥‥‥と思いきや、その少女には見覚えがあった。
翔は金縛り状態であるにもかかわらず、無理やり声を張り、その少女の名を言った。
「ルチア=ダルク――――――」
「‥‥‥」
合っていると答えるかのように、彼女――――――ルチア=ダルクは無言で縦に首を動かした。
それを聞いた途端、翔にかかった金縛りはなくなり、全身が動くようになった。
話せるようになった翔は、聞きたいことを聞いた。
「お前は、どうしてここにいるんだ?」
「それはこっちのセリフ。 どうしてあなたがここに?」
翔の質問には答えず、逆に質問をされた。
そのことに不満を持ちながらも、とりあえず翔が質問に答えることにした。
「ここで、何かがあったみたいなんだ。 変な音が聞こえて、胸騒ぎがしたからここに来た」
「――――――音?」
「ああ。 でも、なんでお前もここに?」
今度こそは、ルチアも翔の質問に答えた。
「私はこの場所で、“ある人”を探しているの」
「ある人?」
こんな時間に人探し、それは普通の事情ではない。
ただの人探しではないのだと、翔はすぐに察した。
一体それはどんな人物なのか‥‥‥と、考えていたその時――――――
ワォォオオオオンッッ!!!!
「「――――――ッ!?」」
天を貫かん程に響き渡る、狼の遠吠え。
夜天に輝く満月があるため、翔は古くから言い伝えられている『狼男』を思い出す。
そして遠吠えを放った狼を探すために翔とルチアは周囲を見渡す。
お互いの背を守るように背を向け合い、襲われないように意識を集中させる。
夜闇により、狭まる視界の中で翔は、五感全てを集中させる。
たった一つの見落としが命取りになると悟った翔は、散歩の疲れ、ここまでの移動での疲れ、金縛りなどの疲労を無理やり押し殺した。
「――――――相良君」
「なんだ?」
そんな翔に、背後にいるルチアは声をかけた。
翔は反射的にルチアの方をに顔を向けると、ルチアは何かを見つけたようにただ一点を見つめる。
そして左人差し指を真っ直ぐ伸ばして、翔に伝える。
「あそこに‥‥‥10匹」
「――――――ッ!?」
翔は、彼女の言葉を疑った。
なぜなら、翔には何も見えないからだ。
ルチアが指差す方向は、翔から見れば先の見えない闇だ。
だが、ルチアが視る世界は翔とは別次元のものだった。
ルチアが視る
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