第一章 日常と非日常
第一話
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違反者には罰則と言うのが存在する。
罰則があるということは、違反者がいると言うことにつながる。
だが、それを一人でも減らすために生徒会や風紀委員と言うのが存在する。
彼女、井上静香もまた、その違反者を減らすために尽力を尽くしている。
そして今、その違反者を3名、取り締まっている。
とはいえ、綺麗ごとを言うつもりはさらさらなく、ただ間違っていることを指摘し続けていた。
‥‥‥そのはずなのだが、痺れを切らした男子生徒一人が彼女めがけて手を出そうとした。
「やめなさい。 あなたたち、これ以上は停学、もしくは退学になるわよ?」
静香は男子生徒の出した手を掴んで制止をしようとするが、聞く耳持たず、むしろ怒りを増す結果を生んでしまった。
彼女を睨みつけ、一人の生徒が彼女に向かって右拳を振るった。
「――――――止めとけよ」
「ッ!?」
だが、不良ばかりではない。
ちゃんと常識を持つ生徒だっている。
そして優しさを失わない生徒もいる。
彼女のと不良男子の間に割って入ったのは、朝に出会った転校生だった。
「相良君‥‥‥?」
「今朝はどうも助かりました、先輩」
男子生徒の拳を左手で正面から握りしめるように受け止める。
余裕な表情で翔は静香と会話をした。
そして不良の3人を見て言った。
「あなたがた、3人がかりで女1人を相手にするのは恥知らずもいいところだ。 あと、これ以上やりたいのなら、俺が相手をしますが‥‥‥どうしますか?」
翔は自身の持つ握力で握っている拳に力を込めると、その生徒は激痛のあまりに悲鳴を上げる。
静香の耳には、メキメキと痛そうな音が聞こえる。
「相良君、そこまでにして」
「‥‥‥分かりました」
静香の制止に従い、翔は手を離すと3人は怯えて走り去っていった。
「ふぅ‥‥‥。 先輩、怪我はないですか?」
「ええ。 助けてくれてありがとうございます。 けれど、無茶はしないでください」
いくら助けてくれたとは言え、一人で立ち向かうのは無謀だ。
それを指摘すると、彼は苦笑いして言い返す。
「先輩に言われたくはないですよ。 無茶しないでください」
「む‥‥‥」
反論のしようがない。
「それじゃ俺は友人を待たせているので、これで失礼します。 何かあったら、呼んでください」
一礼して、翔は紗智のもとへ走っていった。
「‥‥‥始めて、でしたね」
残された静香は一人、この感覚をどう表現するべきかわからなかった。
静香は、先ほどのように助けられたのは初めてだった。
いつも全てを
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