第一章 日常と非日常
第一話
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走りで追いかける紗智。
翔と紗智は肩を並べて、夕暮れの廊下を歩く。
男女が二人きりで歩くことに不慣れな翔は少しだけ違和感を持つ。
それは七瀬も同じようで、普段は一人で帰るはずが、転校してきた翔の存在によって変わった。
出会ったばかりで、さらに大胆にもお姫様抱っこまでされたこともあり、武や春人とは違う意味で翔を意識してしまう。
「‥‥‥七瀬」
「はい!?」
ビクッと不意を突かれたかのように驚いて返事をする紗智に、翔は頭に『?』を浮かべながら質問をする。
「あのさ、お昼休みの時だけど‥‥‥あの時はごめん、いきなりあんなことして」
「え‥‥‥あ、うん」
突然、謝ってきた翔に少し驚いて、フリーズした紗智。
理由はなんにせよ、罪悪感はあったのだなと紗智は少し安心した。
‥‥‥なんだかんだ言って、まんざらでもなかった自分がいたのも事実であったため、せめたりはしない。
「いいよ。 相良君のおかげでパンも買えたんだから。 相良君がいなかったら、お昼はあまった少ないパンだけになってたから‥‥‥」
むしろ、感謝するべきだと紗智は思った。
「――――――ありがとう、相良君」
「‥‥‥ああ」
翔は静かに頷いた。
それは、始めて見せた紗智の笑顔があまりにも綺麗だったから。
夕暮れの光に照らされ、芸術的な美しさを感じられる程に綺麗だったその笑顔に、翔は見惚れていたのだ。
「‥‥‥?」
再び歩きだした二人は、下駄箱で靴に履き替えると校門まで歩いていた。
校門まで歩くと、一人の女子生徒が3人の男子生徒に囲まれている光景を見つけた。
‥‥‥翔は、その女子生徒に見覚えがあった。
「あれは‥‥‥井上静香先輩か?」
「そうみたいだね‥‥‥なにかあったのかな?」
生徒会長、朝に翔に声をかけてきた最初の生徒だ。
その会長は、服装・頭髪ともにだらしない所謂『不良』と呼ばれる3人と負けない威圧を放ちながら、対立していた。
だが、どう見ても男子の方が数が多い。
もし暴力に発展したら、まず勝てないだろう。
そう思った翔は鞄を紗智に渡すと、会長のもとへ走り出す。
「あ、相良君!?」
紗智は翔の突然の行動に呆気を取られる。
翔のあとを追おうと思ったが、不良には勝てないと思った紗智はそこから動けなかった――――――。
***
不良と言うのは、どこの学校にもいる。
どれだけ優秀な人が揃う学校でも、どんなに規律が厳しい学校でも、ルールが存在する場所には必ず違反者と言うのはいるものだ。
だからこそ、
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