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魔法使いの知らないソラ
第一章 日常と非日常
第一話
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用玄関です。 一般生徒が無断で入るのは校則違反ですよ」

「ッ!?」


すると背後から女性の声が聞こえ、翔は不意を突かれたようにビクッと体を震わせて後ろを振り向く。

そこには、仁王立ちして腕を組み、いかにも年上と言う雰囲気漂わせる女性がいた。

黒く、腰まで垂れ下がり、冬風に靡く髪は彼女の凛々しさを強く印象付ける。

目は補足、モデルのようなすらっとした脚。

美しく、凛とした姿はまさに大人の女性と言ったところだろう。

教師かと一瞬だけ思ったが、この学校の制服を着ているため、どうやら先輩だろうと理解した。


「あれ?  見ない顔ですね?」

「あ、今日からこの学校に転入する一年の相良翔って言います」


少し慌ててしまったため、早口での挨拶になってしまったが、ちゃんと聞き取ってくれた彼女は『なるほど‥‥‥』としばらく考えると軽く頭を下げて言った。


「それは申し訳ない事を言いました。私は三年一組の『井上(いのうえ) 静香(しずか)』です。この学校の生徒会長を務めているものです」


優しく透き通った声が、彼の耳の中を通る。

凛とした雰囲気とは相反して、優しい姉を思わせるような声に翔は最初の緊張感が少し和らぐのを感じた。


「ここの学校の校長から―――『学校に来たら先に校長室に足を運んで欲しい』と言われていたので、ここから行こうと思ったんですけど?」

「そうでしたか、分かりました。 校長室は、職員室の隣にあります。 それでは、これからよろしくお願いします」

「はい。 よろしくお願いします」


彼女に一礼した翔は、職員玄関から学校に入り、校長室へ向かったのだった。



                  ***


この学校の校長は、女性だった。

容姿からして50代といったところだろう。

祖母のような優しい雰囲気を醸し出す校長は、相良翔の転入を歓迎してくれた。

しばらく、校長からこの学校での説明を受けた。

とは言え、校則系に関しては校長からもらった生徒手帳に記されていたので主に話されたのは部活動やこの学校そのものの説明や歴史だった。

校長と言えば面倒に長い話と言うイメージがあったが、この校長は少し違い、長く話さず要点だけをまとめて話していた。

説明を終えた校長は、翔のクラスと担任の教師の説明をすると、『これから卒業まで頑張ってください』と一言言って話しは終わった。


そして翔は今、担任の女教師『柚姫(ゆずき) (かなで)』と共に教室に向かって廊下を歩いていた。

既に|HR(ホームルーム)が始まっているため、廊下は人一人おらず、静まり返っていた。

翔は柚姫先生のあとを追うように後ろを歩きなが
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