第一章 日常と非日常
第一話
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う灯高は、この長い道をまっすぐ一直線に進めばいいだけであるため、道を覚えるのは簡単だ。
それよりも問題は、この寒さである。
冬真っ只中、特に今日はスマートフォンで確認したのだが、どうやら今季一番の冷え込みと言うことらしい。
そのため、翔は制服の上に白のトレンチコートを羽織り、さらに白と黒のストライプ柄のマフラー、白い手袋を着用と、完全防寒装備にした。
だが、それをもってしても手は裂けるかのような冷たさと痛み、頬を掠める冬風は全身を細かく震わせる。
できれば学校には暖房があって欲しいと心底願うばかりだった。
「(‥‥‥にしても、やっぱり転校初日って言うのは緊張するな)」
寒さを紛らわせようと、何か話題を自分の中に出してみた。
思いつくのはやはり、今日が転校初日と言うこと。
どんな理由にせよ、始めと言うものはどうしても緊張してしまうものだ。
人付き合いの苦手な彼は、緊張とともに不安と言うのもある。
人付き合いが苦手、と言うよりは人と会話をするきっかけなどを上手くつかめないのだ。
そのため、タイミングを何度も逃し、結果的には孤立してしまう。
中学生のころは、上手く人に声をかけられず、友達と呼べるものはできなかった。
今回も同じになってしまわないように、なるべく人と話せるようになりたいと思っている。
「(転校生って言うこともあるし、転校生をきっかけに色んな人が話しかけてくれると嬉しいけどな)」
そんなことを考えながら歩いていると、自分と同じ学生服を着て歩く学生たちがちらほらと見え出した。
知らない人ばかりが歩くため、そわそわとした緊張感を隠せない。
翔はそんな緊張を無理やり抑えながら、しばらく歩き続けると、学校の校門に辿りついた。
「ここが‥‥‥」
資料では何度も見たことのある光景だが、やはり実際の目で確認するとまた凄いの一言だった。
校門を真っ直ぐ30m程先に全生徒が入る下駄箱があり、校門入って右手を数mに教師や関係者などが入る玄関が配置されている。
そして学校の形状だが、レンガ色が目立つ校舎。
校舎は屋上も含めると5階建てとでかい。
体育館と校庭もそれなりに広く設備されているらしい。
そんなこの学校は、全校生徒3000人以上といるマンモス校で、理由は小中高一貫となっているからだ。
つまりこの学校には、俺たちのような高校生以外には、小学生や中学生も普通に通っているのだ。
だが、そうと分かっていてもこの人数には流石に圧倒されてしまう。
そう考えつつも、翔は取り敢えず職員室に用があるので下駄箱の方には向かわず、教師用玄関に向かって歩きだした。
「そこの君、そこは教師
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