プロローグ
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も、英雄たる人間はいなかった)
だから彼は、この世界を捨てる決意をした
複写眼の力を最大限に駆使し、様々な歴史、英雄譚を紐解き研究した結果作り出した魔法
この世界では、いまだ開発されていない転移の魔法―――
しかも、次元を超える―――世界を、飛び越える為の魔法
この世界で生きてゆくには、彼の心はあまりにも脆すぎた
彼は、この世界で生きてゆくことに耐えられなかった
あまりにも救いのないこの世界で、彼の見たものは絶望のみ
世界を捨て、逃げ出そうとするほどに
『そうか、ようやく完成したか、シャガル』
唐突に、青年の体内に響く、ゆっくりと、重圧を持った声
『シャガル』――そう呼ばれた少年は、シャガル・リルラ。複写眼を保持し、十数年前に暴走、自身の村を壊滅せしめた男である。
彼は、主の見えない声に向けてなのか、小さく頷き。
「ああ、これで転移魔法の、完成だ。魔力は、ここら一体の物を根こそぎいただく」
彼が作り出したこの魔法は、転移魔法の一種だ
「ただ、問題は―――」
『どこに飛ぶかが、全くわからない・・・場所も、空間も、時間も、世界でさえも・・・
か』
そう、この魔法は飛ぶ場所を指定できない欠点がある
否、むしろ、そうせざるを得なかったとも言える
正直、世界を超える魔法など、この世界の魔力全てでも補えるかどうかというところだ
それを補うために、敢えて無茶苦茶な構成を織り交ぜ、魔力を爆発させる
それゆえに、場所などは指定できない。完全に運が絡む。
『我は止めはせぬ。お主の意のままにするが良い』
そして、彼の体内からの声の主。名を《アルファ》
元々は、複写眼保持者を殺すために、複写眼に植えつけられる人格
複写眼保持者が暴走した際、それを殺し、滅ぼすための人格
本来、この人格は保持者と話すこともなければ、そもそも理性がない
さらに、基本的には破壊衝動以外を持たないはず。なのだが
(あの時・・・)
シャガルが、初めて暴走したあの時。
その時、ギドーはシャガルの暴走を止めることに成功した
その時、中途半端に覚醒していたアルファ。
まだまだ未成熟故の心の隙間にアルファは入り込み、そこで感情を得た
更にそれから数年間をシャガルの心の隙間で過ごし、理性を得る
その後、ギドーがこの世を去る際のシャガルの深い悲しみ。
その時にできた隙間を抜け、シャガルの内包するもう一つの人格として、具現す
る。
数年の間にアルファの《アルファ》たる役目も薄れており、保持者を乗っ取ることもできなくなっていた。
(まあ、こいつに体を委
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