プロローグ
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陥っている
『うるせぇ!!!こうしねえと殺されちまうんだよ!早くどかねえとお前も殺す
ぞ!』
だが、それで留まり、少年を見殺すほど、彼の正義感は生半可ではなかった
『てめえらが何を言おうが、俺はこいつを殺させねえ!殺させるかよ!』
そう啖呵を切り、少年をかばう。
彼にとっては息子同然の少年。
血の繋がりはないが、親心が出てきているのかもしれない
(はっ。女房も持たずに親心、か。馬鹿な話だぜ)
皮肉を心底で呟き、覚悟を決める
『くっ・・・すまんギドー・・・死んでくれっ・・・!』
その言葉をきっかけにして、数人の男達がギドーへと迫る。
ギドーは、後ろの少年を抱き起こし、叫んだ
『おい、シャルッ!早く逃げろ!俺の馬を使え!早くしろっ!』
『シャル』。そう呼ばれた少年は、動けなかった
今まで自分に優しかったおじさん達
それが今日になって、いきなり自分を殺しに来た
わけがわからない。わかるはずもなかった。
どだいこの年の少年に理解しろという方がおかしいのだ
だが、ギドーに理解を求める時間は、残されていない
それだけ言うと、振り向き、男達と対峙した
『がっ・・・!』
しかし、さすがに多勢に無勢。ギドーは唸り声を上げながら倒れていく
それをまざまざと目に焼き付け、必死に理由を考える少年
(なんで、おっちゃんはおじさんたちになぐられているの・・・?)
(なんで、なんでおっちゃんは血を流して倒れていくの・・・?)
理由など、わかるはずがなかった
ただ、頭の中を支配する、ただ一つだけ分かること
それは、今まで親のように遊んでくれた、面倒を見てくれた、ギドーが。
そのギドーが、死の危機に瀕しているということだけだった
少年は強く思った
(いやだよ、いやだ、いやだいやだいやだ!)
(おっちゃんを傷つけるな!やめろよ!やめてくれよ!)
頭が、ズキンと痛む
何も考えられない中で、目に映るのは最後まで自分を守ってくれていた、ギドーの体
その、血まみれの体が目に焼き付いたその時、少年の感情が爆発した
『やめて・・・やめて・・・・・・・・・・・・あ、はは・・・ハハ・・・アハハハハハッ!』
『あははははははははははははっ』
少年の意識が戻ったとき。
少年の目の前には、何も残ってはいなかった
ただ、残されたのは自らと血濡れのギドーのみ。
そう、少年はこの時。初めて人間を殺した。
彼の魔眼が発現して、十年
彼は死ぬことなく、精強な青年へと育っていた
黒い髪、そして、複写眼の影響もあるのか赤みがかった瞳
少年は、その後もギドーによって育てられていた
あの時、ギドーは目を覚ました後、暴走し、破
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