七十四 三竦み
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同じく追い駆けようとしたナルは一瞬だけ振り返った。立ち去り間際に白き壁に飛散した目立つ染みを見つめる。
視線の先にある血痕。浅黒いそれを眺めた彼女は何かを決意するように拳を固く握り締め、踵を返す。
城跡に背を向け、ナルとシズネは綱手の許へ急いだ。その先に、予期せぬ展開が待ち受けているとも知らず。
轟音。
天を衝く勢いの白煙があちこちで立ち上る。
平地だったはずの荒野には大きな穴が方々に穿たれ、大地を更に荒れ果てたものにしていた。
「かつては里の狂気とも呼ばれた貴方が里の為に奔走するとは堕ちたものね」
「そう言うお前は里の脅威…――――落ちぶれたものだな」
嘲笑った大蛇丸に対し、自来也も皮肉を返す。罵声の応酬。
口争いだけに留まらず戦闘する両者は共に『伝説の三忍』と謳われている。同郷出身の彼らは故郷である木ノ葉の里を片や滅ぼさんとし、片や守ろうとしていた。
「【乱獅子髪の術】!!」
だしぬけに、ぱんっと手を鳴らす。すると突然自来也の白髪がみるみるうちに伸びてゆく。急激に伸びた髪はまるで獅子の如く宙を自在に駆け、大蛇丸に襲いかかった。
太く束ねられた白き髪が己の身に巻き付くのを見て、大蛇丸は目を細める。針のように硬い髪がギシギシと身体を締め付けても猶、笑みを湛えたまま、彼はぐるりと自らの首を伸ばした。
白く長い首がにょろりと針金の山を掻い潜り、自来也の許へ辿り着く。
「…チィッ――【忍法・針地蔵】!!」
途端、今度は自来也の身体を覆う白髪。鋭い針同然の毛先が大蛇丸の猛攻を食い止める。
だがそれを見越した大蛇丸は攻撃寸前に身を翻した。【針地蔵】によって緩んだ白髪の拘束から逃れ、自来也から距離を取る。
艶やかな黒髪を靡かせ、大蛇丸は軽く肩を竦めてみせた。
「絞殺は蛇の十八番よ。盗らないでちょうだい」
「ワシの髪を蛇と一緒にするんじゃねえーのぉ」
軽口を思わせる言い合い。相手の行動を窺いつつもどこか愉快げに彼らは唇を歪ませた。
不意に視線が横へ逸れる。もう一人の三忍――綱手と、大蛇丸の部下であるカブトの戦闘。自分達とは聊か離れた場所で闘う二人の動向を眼の端で捉えた途端、顔を強張らせた自来也に対し、大蛇丸はうっすらと口許に冷笑を湛えた。
二人の眼に飛び込んだのは………自らの腕を傷つけて笑うカブトと、彼の血に塗れた綱手―――そしてそれを目の当たりにしたナルとシズネが呆然と立ち尽くすといった異様な光景だった。
「その眼……いつから見えていない?」
その問いは、もはや確認に近かった。鋭い青に射抜かれ、イタチは観念
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