七十四 三竦み
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が練れない上に…身体が痺れて…ッ、」
現に起き上がることさえ叶わなかった。今もまだ痺れは取れていないが、ようやく足だけはなんとか動かせるようになったので綱手を追う為に休憩所から脱け出したのである。
「な、なんで綱手のばあちゃんがそんなことするんだってばよ…?」
当惑するナルの腕をシズネは縋るように掴んだ。そしてやにわに病室前の大きな窓枠に足をかけ、鋭く叫ぶ。
「訳は走りながら説明するわ!一刻も早く、綱手さまの許へ…ッ!!」
唐突な発言に目を瞬かせるナル。最初こそ困惑したが、シズネの瞳に浮かぶ強い焦りの色を見て、彼女は「お、おう!」と勇ましく答えた。
ナルが力強く頷くや否や、自らのふらつく身体を叱咤しながら窓から飛び出すシズネ。ナルもまた続いて病院を後にする。
二人が立ち去った無人の廊下では、医者と看護師の慌ただしい足音がいつまでも響いていた。
岩が砕ける。
飛び散るつぶてを顔面で受け、カブトは思わず眼を瞑った。瞬間、迫り来る蹴りを腕で防御する。
しかし相殺し切れず、吹き飛ぶ身体。即座に空中で体勢を整える。首を捻ると、顔の真横を風が切った。同時に舌打ちされ、殴られかけたのだと気づく。
怪力による風圧か。何時の間にかできた頬の掠り傷から血が滴り落ちていた。
「…実戦を退いて猶この力…。大した御方だ」
地に着地し、距離を取りながら感嘆の声を漏らす。カブトの呟きが聞こえたのか、自来也・大蛇丸と同じ三忍の一人――綱手は怒涛の攻撃をようやく休めた。
「お前こそ、並みの医療忍者じゃないな。術のセンスと切れ味は私の全盛期すら超える…見事なものだ」
「お褒めいただき、どうも」
世辞を聞きながら、カブトはわざとらしく会釈した。俯いた際に頬をすっと指でなぞる。
次の瞬間には、最初から傷など無かったかのような柔和な面立ちが笑みを浮かべていた。瞬時に傷を治したカブトの優れた技量に、綱手は軽く眼を見張る。
お互いに医療忍者同士。両者は何度かの接触により、既に息を切らしている。何故ならば双方とも眼には見えない痛手を負っているからだ。
片腕と片足の筋肉を少しばかり損傷した綱手。神経系の電気信号を混乱させられたカブト。
外見からは判断しにくいものであっても確実に命に関わる傷。自身の巧みな医療技術と知識を活かし、闘う二人は敵同士でなければさぞかし話が合ったことだろう。
現にカブトは、若い見た目に反して燦々たる経歴の持ち主である綱手を敬服の眼差しで眺めていた。
「同じ医療忍者として尊敬している貴女にそう言われると、悪い気はしませんね…」
穏やかな物言いで微笑む。だが直後、朗らかな微笑とは裏腹に、カブトは鋭利なチャクラ
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