最終話 あらたなはじまりその六
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その高代とも別れてだ、樹里は上城に言った。
「何かね」
「何かって?」
「いや、色々な人とお話してると」
それで、というのだ。
「お腹空かない?」
「あっ、言われてみれば」
「そうでしょ、だからね」
それでだというのだ。
「早いけれどお昼にしない?」
「お昼御飯だね、じゃあお店は」
「この商店街美味しいお店一杯あるから」
こうも言う樹里だった。
「何処かに入ろう」
「何処がいいかな」
「そうね、それじゃあね」
樹里は商店街の中を見回して、アーケード街の左右にそれぞれ様々な店が並んでいる。その店を見渡して。
ある店を指差してだ、上城に言った。
「あのお店にしない?」
「カレー屋さんだね」
「そう、あそこね」
そこにしようというのだ。
「そうしない?」
「そうだね、じゃあね」
こうしてだった、二人は今度はカレー屋に向かった、そして。
そのカレー屋に入るとだ、今度は。
スペンサーと王がいた、二人共だった。二人用の席に座ってそのうえでカレーを食べている。その二人を見てだった。
上城は目を瞬かせてだ、こう二人に言った。
「お二人共どうして」
「御覧の通りです」
「カレーを食べているんだよ」
「あの、ですから」
何故かとだ、上城は二人に問うた。
「スペンサーさんも王さんも」
「カレーを食べる風ではない」
「そう言うんだね」
「はい、スペンサーさんはアメリカ人ですし」
まずは彼のことから言うのだった。
「それに王さんは中国人でしかも中華料理店のシェフで」
「アメリカは多民族国家です」
このことからだ、スペンサーは上城に微笑んで答えた。
「インド系もいます」
「だからカレーもですか」
「あります、ですからカレーライスもです」
「召し上がられるんですね」
「そうです」
その通りだというのだ。
「ですから」
「今もこうしてですか」
「食べています」
「中国にもカレーはあるよ」
王は微笑んで自分から上城にこう話した。
「そしてこうした中華料理以外の料理を食べることも」
「そうしたこともですか」
「料理の勉強だから」
それでというのだ。
「今も食べているんだよ」
「そうなんですか」
「ただ。お二人が一緒なのは」
樹里がだ、ここで二人にこのことを尋ねたのだった。
「そのことはどうしてですか?」
「いや、たまたまです」
「私がお店に入ったら大尉がおられたのだよ」
本当にだ、偶然一緒だったというのだ。
「それで顔見知りということもあり」
「二人でこうして食べているんだよ」
「もう戦いも終わりましたし」
「しがらみもないからね」
「だからです」
「特に何も特別なことはないよ」
「そうなんですね、それじゃあ」
樹
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