第二章
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くなった。ノアは心の中で神の声を聞いて迷った。その迷いは否定できない。だがそれでも。彼は否定したことがあったのだった。
「皆さん」
ノアは口を開いた。愛する者達の為に。
「お話して宜しいでしょうか」
「ええ、どうぞ」
「お話して下さい」
彼等もそれを受けてノアに話すよう促してきた。
「ノアさんのお話なら是非御聞きしたいです」
「ですから」
彼等も話すように促す。その言葉はノアを信じているからに他ならない言葉であった。そう、ノアは信頼されていた。ノアもまたそれを感じていたのだった。
「お話下さい」
「ノアさん、どうして」
「わかりました」
皆の言葉をまた受けて。ノアは遂に話す決意を完全なものにした。彼はここで遂に神以外のものを選ぶことを完全に行動に移したのであった。
「お話しましょう。私が今こうして舟を建っているのは」
「はい」
「どうしてでしょうか」
「理由あってのことです」
彼は言うのだった。
「理由が?」
「そうです。間も無く洪水が起こります」
彼は言った。遂に。
「ですから皆さんが乗れるような舟を今こうして建っているのです。その為に今」
「成程、そうだったのですか」
「それで」
彼等はその言葉を受けて頷いた。これがノアにとってはいささか意外なことであった。
「信じて頂けるのですか?」
「ええ、勿論ですよ」
「ノアさんの言葉ですから」
彼等は笑顔で述べる。彼を信じている、それ以外のものはない言葉であった。ノアもまたそれを今見たのであった。他ならぬ己の目で。
「皆さん・・・・・・」
「他の人なら信じませんよ」
「なあ」
彼等はここで互いの顔を見合わせる。そのうえでまた言葉を続けるのだった。
「ノアさんだからですよ」
「ノアさんの御言葉ですから。信じますよ」
「そうなのですか」
「それなら手伝いますよ」
「わし等も」
それどころか。彼等は笑顔で前に出て来た。そうしてその手にもう様々な道具を握りだしていた。そのうえで舟に向かうのであった。
「えっ、まさか」
「そのまさかです」
「手伝いますよ、ノアさん」
笑顔でノアに言ってきた。
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