ゆゆゆの日課
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ゆゆゆは、笑顔で顔を上げると、手で大きく○印をつくりました。
ギャラリーとなっていた釣り人たちから、歓声とねぎらいの声があがりました。
「まっててねー。今海におろしてあげるから。」
ゆゆゆは、ところ狭しと魚が泳ぎ回るその桶を両手で抱えると、桶についた縄を使って、するすると海面に降ろしました。
桶が海面に付くや否や、魚は待ち焦がれたように、桶を飛び出し、海の深くへと消えていきました。
港町であるこの町は、かつて漁業と交易に栄えた町でしたが、いつの頃からか、沖合いに化け物が現れるようになってしまい、
漁獲量は大きく制限されてしまったのです。
追い討ちをかけるように、マナロスト事件というひとつの事件を契機に、
しばらく前から人口が急に増えたこの町では、食料がだんだん高くなってきていました。
この港町を統治下に置くディメント王国の援助もあり、極端に値段がつりあがることはありませんでしたが、
住民たちは、その先行きに不安を抱いていました。
最近ここに居を構えたゆゆゆは、町の人たちや教会から、そんな話を聞き、少しでもよくなればと思い、
食べるには悪くなりすぎてしまった魚を、設置した箱に入れてもらうように、釣り人たちにお願いしたのでした。
帰り際に、気前の良い釣り人たちが譲ってくれた、小ぶりな魚が入った袋を片手に、ゆゆゆは自分の家に入っていきました。
「ただいまー」
「おかえりー」
すっかり暗くなった玄関に、明かりが灯りました。
「ねえねえねねね。チョーカって知ってるー?教えてあげようかー?」
「それって、チョーかハンか?」
「えー?ハンて何々?」
3姉妹の家からは、ほのかな明かりと他愛ないやり取りがもれ聞こえていました。
-おわり-
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