ゆゆゆの日課
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「あなたに創造神アヴルールのご加護がありますように。」
地味な色合いのワンピースドレスをまとった女性は、小さなメダルを手渡すと、微笑をうかべて言いました。
「いつもありがとうございます。カーラルデさま」
背の丈は3尺(1メートル弱)ぐらいの少女は、にっこりと笑顔で、目の前に立つ女性を見上げてお礼を言いました。
衣服は簡素な麻のワンピース。
肩まで伸びた、ふわりとウェーブのかかった明るい桃色の髪と、対になるような色彩のダークブラウンの深い瞳。
ポークル族の特徴である大きな目と、身長に比して大きな顔。(等身にして2,3頭身程度)
少女の名前は、ゆゆゆ。
イルファーロという港町に住んでいる、ポークル族という小人族の女の子です。
ゆゆゆは、カーラルデと呼んだ女性からもらった、メダルを胸元のポシェットを開いて、しまい込みました。
メダルを手渡した、カーラルデと呼ばれた女性は、エルフの特徴を持つ、背の高い気品に満ちた女の人です。
ここは、この町にあるもっとも大きな教会です。
教会の運営は、協会に直接つとめる人たちとは別に、彼らを支援する求人が毎日のように張り出されます。
彼らでは手の届かない雑務や急な対応が必要な場合に備える必要があるからです。
ゆゆゆは、その仕事を終えた帰りに、報酬を受け取っていたのでした。
報酬をポシェットにしまいこんだゆゆゆは、カーラルデに別れを告げると、教会をでました。
目の前には大きな噴水のある開けた広場になっています。
町の人や冒険者が行き交う広場は、いつものように喧騒に包まれていました。
おひさまが、わずかに赤みを帯びて、夕暮れが顔を出しはじめる時間帯の中、
ゆゆゆは、その広場から、港がある方面へと歩き出しました。
「おや、今日も来たね。」
港の桟橋をトコトコと歩くゆゆゆを見つけた、釣りをしている中年のおじさんが話しかけました。
港は、いくつかの木造の桟橋が伸びており、漁船や荷おろしに使われる船着場となっています。
港からわずかに離れた距離に、大型の、かつての定期船が何艘かが波に揺れています。
今もいくつもの小船が停泊し、魚の荷揚げを行っている傍らで、何人もの釣り人の姿がありました。
海辺は、もともとゴツゴツした岩ばっかりだったのか、砂浜は無く、
石造りの海辺が波音と、磯の香りを港のひとたちに届けます。
「こんにちは。おじさん。」
ゆゆゆは声をかけてきたおじさんに挨拶を返し、そばに歩み寄ります。
「今日のおさかなはどうですかー?」
ゆゆゆは言うと、橋のはしっこから海を覗き込みます。
覗き込んだ水面からは、橋から下がった網が見えます。
それは、釣った魚を逃がさないための釣り具のひとつでした。
「ふふふ。ゆゆちゃん、そいつは釣果って言うんだぜ。」
「ちょーか?」
得意げな
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