暁 〜小説投稿サイト〜
氷結鏡界のエデン 〜記憶を失ったもう一人の・・・〜
楽園幻想
プロローグ『浮遊大陸』
[3/3]
[9]
前
最初
[1]
後書き
[2]
次話
親のような、微笑にも近い優しげな表情へ。
「わたしが聞きたいのはただ一つだけ。お前は穢歌の庭の何層まで堕ちた? 第五鏡面か、第六鏡面か。それとも、最深部に流れる『あの歌』を聞くことができたのか?」
その問いかけに ーーーー
今まで沈黙していた少年が弱々しく口を開けた。しかし、声にするだけの力は無く、半開きの口からは
擦
(
かす
)
れた息が
洩
(
も
)
れただけ。
「答えたくてもその体力も無いか。まあそれはそれで構わない、遠からぬうち自ずとわかることだ」
夜の暗がりの中でも目に付く艶やかな黒髪を
梳
(
す
)
く彼女。
「わたしの名はツァリ。だがここで覚える必要は無い。いずれまた、嫌でもわたしの名を聞く時が訪れる。だからこそ今は ーーあらためてお前たちを歓迎しよう」
そして。
深い琥珀色の瞳に輝きを灯し、ツァリと名乗る女性は少年と少女の手を握りしめた。
「ようこそ、穢歌の庭に堕ち、浮遊大陸(オービエ・クレア)へと登り帰った者よ。千年、凍てついた楽園がおまえたちを待っていた」
その夜、浮遊大陸(オービエ・クレア)は
観測史上稀
(
かんそくしじょうまれ
)
に見る
豪雨
(
ごうう
)
を記録した。
[9]
前
最初
[1]
後書き
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ