マクロスF
0688話
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く。
だが、それでもまだシェリルの落ちる方が早い。ならっ!
「っ!?」
一瞬だけ念動力を使い、シェリルの落下速度を端から見ている限りでは分からない程度に緩める。本当に僅かな差ではあるが、俺にとってはその程度の時間があれば十分だった。
シェリルの真下に回り込む事に成功し、そのまま両手を広げて落下してくるシェリルをゆっくりと受け止める。
瞬間、フワリとシェリルから香ってきた汗と香水の混じり合った濃厚な女の匂いと、成熟した女の柔らかさを感じていた。
「無事か?」
一瞬だけ感じたソレを努めて無視し、腕の中にいるシェリルへと声を掛けるが、返ってきたのは強い意志の籠もった光。
「このまま飛んで!」
どうやら無事らしい。そして自分の仕事にプライドを持っているか。
「了解した。落ちないようにしっかりと掴まってろよ?」
そんな俺の言葉を聞きながらも逆に挑発的な視線で一瞥し、そのままポンとマイクを持っていない方の手で俺の胸を叩く。同時に腕の中で強張っていたシェリルの身体がゆっくりと緊張が解れるように力が抜けていく。
どうやら墜落のショックは無いみたいだな。
その様子に安堵しながら、シェリルを抱いたまま観客席の真上を飛行する。
『全機、アクセルのフォローを』
ミハエルの指示もあり、アルトや緊張のあまり衝突事故を起こした黒人の男もようやく落ち着いたのか……いや、あれだけの事故を起こしておいて落ち着くってのもなんだけどな。
とにかく俺の腕の中でシェリルは歌い続け、俺はその様子をこのコンサートホールの中にいる誰よりも近くで見る幸運に恵まれたのだった。
……そう、避難警報が流れるまでは。
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