第十話:御剣
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のさいのある》祖母。
頭のおかしな父親に、頭のおかしな母親。
2866年の日本魔国設立初期から、三代に渡って続いた狂人の家系。 しかしそこに生まれた四代目は至ってまともで、常識的な女の子だった。 整った容姿に加えいつも明るく礼儀正しく、近所の人々からの評判も上々な女の子は、しかし家庭においては非才な落ちこぼれとして扱われ続けて来たのだ。
そして彼女にとって運の悪い事に、御剣の家はそんな常識人の存在を決して許さなかったし、更に言えば非才故に家を追われるようなものを『御剣』から排出するなどと言う事はもっての他だった。
少女が10歳になった時だ、両親は彼女を強制的に自宅へと監禁し、『改造』を施し始めた。
とは言ってもそれは体の一部を機械に挿げ替えるだとか、非合法的な薬物を投与すると言ったものではない。 少女の両親は彼女を狂人《てんさい》に作り替えるために、たった10歳の少女に対して『御剣家の常識』を徹底的に教え込み、また時には彼女の精神を不安定な状態に定着させる為と銘打って虐待まがいの行為を繰り返した。
『狂人』である彼女の両親は、それが娘のためになる事だと信じて疑わなかった。
◆
延々とそのような日々を繰り返し、何と5年。
5年ぶりに外の世界へ解き放たれた少女。
その整った容姿は5年前よりも更に美しく、しかしその心は両親の思惑通りに『御剣』のそれへと……否、それどころか両親の期待以上、歴代『御剣』の中でも最も破綻したそれへと変わり果てていた。
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