第九話:自己紹介
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ものは食べられないものです」
そう言ってまた一人、クラスの女子生徒の一人が元気良く立ち上がり自己紹介をした。 一見すればギャグで言っているとしか思えない自己紹介だが、言っている本人の顔は大真面目だ。 その妙なギャップにクラスからどっと笑い声が上がる。
「そうか、この学院は学食のメニューもいいものが揃っているからな、期待していいぞ」
出雲先生ははははと笑いながらそう返し、それを聞いた真澄さんは「マジっすか!」と心底嬉しそうに言って席につく。 先生はどこか楽しそうな表情で名簿評を見ると「あとは丁度5人だけだな」とつぶやくと、次の名前を呼んだ。
「御剣宮古さん」
「御剣宮古、よろしく」
途切れ途切れな口調で、短く名前だけを告げる声。
どこかで聞いたようなその話し方に、声のした方を振り向けば……そこにいたのは案の定、今朝食堂で不良共にからまれていたあの女子生徒だった。
「ん、それだけでいいのか?もっと何か言ってもいいんだぞ」
「構わない」
「……まぁ、あまり喋りたくないならそれもいいだろう」
そう言って御剣さんは姿勢をかがめて椅子に腰を下ろし……そしてその途中で、ほんの一瞬だけ俺の方へと振り向いた。 その静かな、しかしどこか冷たい印象の瞳が俺の姿を捉える。
(……?)
その刺すような視線に、俺はほんの少しだけ妙な疑問を感じたが……俺が何か反応を返すよりも先に、御剣さんはこちらから視線を逸らして席に付いてしまっていた。
――今朝あんな事があったばかりだし、何か気になる事でもあったのかな。
俺は数秒そんな事を考えていたが、考えれば結論が出るものでもない。 俺が頭をかしげながらも視線を教卓へと戻すと、先生はもう次の生徒の点呼へと移っており、名を呼ばれた真面目そうな男子生徒がクラスの片隅でおずおずと自己紹介を始めた。
◆
その後、出雲先生はクラス全員の点呼兼自己紹介、そしてこれから一年間の間に予定されている学校行事等のお大まか説明を終えると「では、これから一年このメンバーで共に学んで行く事になる。改めてこれから一年間よろしくな」と言ってこちらへ向かって会釈をし、教室を出て行った。 さすがに初日から本格的に魔術の理論を習うわけでもなく、今日の授業は午前中二時間で終了だ。
寮へ戻ろうと俺と小望が荷物をまとめていると、後ろから京介が声をかけて来た。
「なぁ二人共、今日は時間あるんだしどっか遊びに行こうぜ」
「私はいいけど……遊びに、ってどこに?」
「えー?どこだろうなぁ。 俺もこの辺りの事はよくわかんないし……桜花、どっか遊べる所とか知らねぇ?」
「知るわけねーだろ、俺が三年間どれ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ