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イデアの魔王
第八話:真面目な先生?
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 「や、やめてくれ兄貴!何?腹痛には尻にネギ挿したらいい?あんたのそれは長ネギってより大根じゃないか!ちょ、やめっ……ア、アッ――!」
 「だから本当に何の夢見てるの!?色々と危ないから戻って来て!」

 9時37分。 あの後、二人と一緒に食堂を出ると急いで教室に向かい……そして教室に着くなり自分の机に突っ伏して眠っていた俺は、ゆさゆさと言う振動を全身に感じて飛び起きた。 顔から滴り落ちる汗で俺の机はびしょびしょになっており、傍らでは小望が心配しているのだか引いているのだかわからないような表情で俺の背中をゆすっている。

 「ゆ……夢、か」
 「夢かじゃないよ、本当……桜花ってばちょっとでも時間があったらすぐ寝ちゃうんだから」

 そう言って呆れたようにため息をつく小望。 俺は荒い息を整えながらそのふわふわした顔を見返し、そしてにっこりと爽やかにほほ笑んで言葉を返した。 

 「……うふふ、小望は可愛いなぁ」
 「お、桜花が壊れたーっ!?」

 本当にこいつは冗談が通じないクチだ、おまけにすぐ大げさに騒ぐ癖まであるからタチが悪い。
 小望は取り乱して俺の背中をむやみやたらにひっぱたき、俺はその衝撃でむせかえりながらその手を振り払った。

 「バ、バカ野郎、俺はいつだって女性に紳士的なイケメン魔王様だろうが」

 俺がゲホゲホと咳き込みながらそう返したその時だ。 今まで騒いでいた小望が急に真顔に戻ったかと思えば、『え、紳士?』と何を妙ちきりんな事を抜かしているんだと言わんばかりの表情を作り出した。 おまけにその言葉は小望一人のものではなく、俺の後ろの席……そこに座っていた京介までもが小望と同じようにぽかんとした表情で俺を見つめている。

 「……お前らってさ、一体俺にどんな印象持ってるわけ?」

 俺のその問いに小望は一言「すっごい意地悪」とだけ返し、京介は「目つきと態度が悪くてドSで人当たり最悪な……」等と悪意に満ちた言葉を列挙し始めたので、俺は目にも止まらぬ速度で奴のメガネを奪い取ると、ピースサインを作ってむき出しになった両目に目つぶしを食らわせた。

 「ぎゃあああっ!な、何しやがんだこの……」

 京介がまぶたを押さえ、悲鳴を上げたちょうどその時だ。 がらりと教室のドアが開き、そこから一人の女性が姿を現した。 年の程は20前半と言った所だろうか?肩の位置で綺麗に切り揃えた髪と、少しツリ目気味な目つきが印象的な女性……俺達のクラスの担任教師だった。

 「はい、皆おはよう……うん?そこの君、何をやっているんだ」

 教師は俺の背後で悲鳴を上げる京介を見て怪訝な顔をし、京介は「せ、先生!この鬼畜魔王が悪魔のカギ爪で俺の目を!」と大げさに叫んだが、俺は奴の言葉を遮り「ちょっと目にカシワクチブトゾウム
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