第七話:不思議な少女
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をする少女だ。 少女はその後数秒の間じーっと俺の顔を見つめていたが、直後くるりと身をひるがえすと、無言で食堂の入口へ向かって歩き出した。
「あっ、おい、ケガとかしてねーのか?」
「時間」
少女は俺の問いに答えず、ただ食堂に備え付けられた時計を指差した。 見ると時計の針は9時23分を指し示しており、ホームルームが始まるまで後17分しかない。 小望と京介もそれに気付いたようで、二人共慌てて学生証の時計機能をチェックしながらこちらへ駆け寄ってきた。
「……十六夜桜花」
「何?」
「その顔、覚えた」
そう言って少女は俺達三人を一瞥すると、今度こそ何も言わずに食堂を出て行った。
「ヘンな奴だな……結局何だったんだ?」
「アレじゃね?お前に惚れちゃったとか」
そう言ってからかうように俺の方をばしばしと叩く京介。 俺は「んなわけねーだろ」と適当な返事をしながら食堂の外へ出ようとしたが、その途端今まで黙っていた小望がどこか恨めしげで、不機嫌そうな表情をして俺のそでを引っ張ってきた。
「桜花」
「京介が勝手に言っただけだろ、怒るならあいつに……」
はぁとため息をつきながら言葉を返す俺。 しかし当の小望は何か怒ってくる訳でもなく、ふとあらぬ方向を向くと、そちらを指差した。 その先にあるのは先程俺達が座っていた席と、まだ半分ほど残されたオムライスだ。
「オムライス、まだほとんど食べてないよ……」
「……そうですか」
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