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魔法科高校の神童生
Episode28:出発と歯車
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「…殺人、という意味じゃないよな? 実戦経験があると言いたいのか?」

「雰囲気が、な……。俺の親父が海軍の揚陸部隊にいたのは知ってるだろ?」

「ああ。対馬海域で何度も交戦された経験がお有りなんだよな?」

桐原の唐突な話題転換に、服部は戸惑うことなく相槌を打った。

「下士官だけどな。まあ逆に、下っ端だからこそ、最前線を経験したりもするし、実際に命のやり取りをくぐり抜けて来た知り合いも多い。親父の戦友がたまに俺ん家でワイワイ騒いでたりするんだが、俺たちとはやっぱ、雰囲気が違うんだよ。どんなに剣術とか射撃とか、戦う為の技術、人を殺傷する為の技を鍛えてても、実際に人を殺したことのある兵士とそうじゃないアスリートじゃ、殺気の質が違う。四月の事件の顛末は知ってるか?」

再度の話題転換に、今度は服部は訝しげな表情を浮かべた。

「何だ、いきなり…反魔法派のテロリストの仕業だったらしいな。テロ組織は十文字家が潰したらしい、という程度しか聞いていないが」

四月の、差別撤廃有志団体と生徒会による公開討論会を突如襲った反魔法組織。学校内に侵入はされたものの大きな損害もなく、工作員は速やかに拘束され、また近くの丘陵地帯にあるアジトに残っていた残りのメンバーも十文字家によって潰された。
と、世間には公表されている。

が、それは実際とは少々異なる。
まず、学校自体には確かに大きな損害はなく、工作員も生徒らの活躍によって見事拘束された。が、丘陵地帯のアジトを潰したのは十文字家ではなく、司波兄妹を始めとする一校生徒であり、(これは隼人のみが知っていることだが)大亜連合の特殊工作部隊も今回の事件に関与していた。
流石は十師族の一角ということか、一校にとって不利な情報は全て十文字家によって握り潰されていた。

「そうか…だったら詳しい話はできねえな…。ま、お前にだったら、この程度は話してもいいだろ。俺はあの時、テロリストを掃除した現場にいた。司波の兄妹も、な」

「……本当か?」

「そう言いたくなる気持ちは分かるが、事実だぜ。そしてその場で、俺は多分、司波のーー兄貴の方の、本性を見た」
「本性?」

珍しい、桐原の戦慄を含む声音に服部は反射的に問い返していた。

「ああ、本性、あるいはその一端。ありゃあ、ヤバいな。前線ぇ殺し合いをして生き延びた兵士と同質で、何倍も濃密な殺気をコートでも着込むように身に纏っていやがった。何であんなヤツが高校生やってるんだ、ってゾクゾクするくらいヤバかったぜ」

口ではそう言って、声には畏れが混じっていたが、服部の目には桐原が舌なめずりしている様が写っていた。

「……歳を誤魔化したりはできないはずだが」

ボケたわけではなく、本心からそう言った服部はかなりのショックを
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