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魔法科高校の神童生
Episode28:出発と歯車
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八月一日。あれから5日ほど、ほぼ毎日森崎の修行の面倒を見ていた隼人だが、彼が驚くくらいに森崎は成長を遂げていた。
勿論、肉体の成長に伴う魔法力の上昇よりかは伸び代が少なかったが、たったの5日にしては異様な成長ぶりだった。

「っ!」

木の合間を縫って飛来する透明の魔弾を、イデアの世界を介して視認して躱す隼人に、初日のような余裕はない。

森崎のみ攻撃可能というハンデをつけた最後の模擬戦ーー所謂、卒業試験は、早朝の隼人の修行場である森の中で行われていた。

攻撃手段は問わず、隼人に一本入れれば森崎の勝利。代わりに十分間隼人が一撃も被弾しなかったら隼人の勝ちというルールの基、二人は森の中を互いの機動力を最大限に発揮して攻防を繰り返していた。

「あっ、ぶな…!」

初日とは裏腹に、苦戦を強いられている隼人。

圧縮空気弾の被弾を受けて倒れてくる木を森崎に向けて蹴るが、拳銃の特化型CADではないブレスレットの汎用型CADから展開された自己加速術式を用いてそれを躱す。

森崎の最も成長した点。
それは、視野が広がったことだ。

今まで、愚直に敵だけを狙って魔法を行使していたのを、周辺の障害物に当てそれらを利用して攻撃を仕掛ける敵の裏をかく戦法。
そして、風槌による威嚇射撃の直後、ほぼ重なるようにして放たれるエア・ブリッド。

まだまだ戦術レパートリーが多いとは言えないが、たった5日でここまでの成長。隼人が合格点を与えるのは当然だった。

が、ここで黙って負けるのは釈というもの。

「これで…どうだぁ!」

森崎から放たれた約十発のエア・ブリッド。更にそれは、隼人の加えた改良により追尾性を有していた。
隼人の幼馴染である、エイミィの本家『ゴールディ家』に伝わる秘伝・『魔弾タスラム』を模倣して作られたものだ。
秘伝の魔法式をなぜ隼人が知っているというと、昔、一度エイミィのを見てそのたった一度きりで覚えてしまったからである。

四方を囲むように展開し、微妙な緩急をつけて襲いかかる空気の弾丸。
正に、この五日間の森崎の集大成の魔法だった。

だが、

「ふぅっ…摩天楼(まてんろう)!」

隼人の声を契機に、彼を覆い守るかのように、四つの竜巻が姿を現した。
圧倒的な風力の前に、空気の魔弾はその全てを掻き消されてしまう。
と、その時、試験終了のアラームが鳴り響いた。



☆★☆★



「いやぁ、すごく強くなっててびっくりしちゃったよ」

なんて呑気に言うのはどこからか取り出したうちわを扇いで汗を拭う隼人。
それに、森崎は苦い顔をした。

「それでも、僕は君に負けた。それも、手加減されて、だ」

「ふふん、弟子に負けたら師匠の立つ瀬がないからね。まだま
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