第一幕その五
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「いい?先生明日だから」
「明日出発だからね」
「朝はちゃんと起こすからね」
「明後日じゃないよ」
「このことは忘れないでね」
「忘れないよ。けれど皆心配し過ぎじゃないかな」
先生はおっとりとした表情で皆に言いました。今の格好はゆったりとした甚平姿です。
「僕もわかってるから」
「だって何かね」
「先生今回忘れそうだから」
「うっかり寝過ごしてとか」
「そういうこと先生あるからね」
「時々ね」
「大丈夫だよ」
先生だけはこう言います、にこにことして。
「僕はちゃんとわかってるからね」
「本当に?」
「本当に大丈夫?」
「明日ちゃんと起きられる?」
「港まで行ける?」
松山までは船で行くことになっているのです。それで船に乗る時間に遅れてはいけないのです。動物達はこのことも頭に入れています。
だからこそです、先生が心配で言うのです。
「それ大丈夫だよね」
「ちゃんと起きられるならいいけれど」
「僕達そこが心配だから」
「先生のね」
「ううん、皆心配し過ぎだよ」
先生だけです、心配していないのは。
「僕のことなら問題いらないから」
「どうでしょうか」
トミーもです、不安そうに言うのでした。
「明日僕が起こしましょう」
「いつも通りかい?」
「そうすれば問題ないですよね」
こう提案するのでした。
「僕がいつもみたいにそうすれば」
「そうそう、トミーがいてくれるからね」
「今回の旅は一緒じゃないけれど」
「それだったらね」
「大丈夫だね」
トミーならとです、動物達は彼に一斉に顔を向けて応えました。
「それなら」
「明日の朝もね」
「大丈夫だね」
「トミー、じゃあ頼むよ」
「僕達も起きるけれど」
「明日の朝はね」
「うん、朝起きて」
そうしてとです、強い声で動物達に応えるトミーでした。
「それで朝御飯を作ってね」
「そして先生を起こして」
「それからだね」
「明日の朝は早いけれど」
「それでもね」
「うん、起きるから」
そこは安心していいと答えるトミーでした。この人はしっかりしているので動物達も安心しているのです。むしろです。
「先生ってねえ」
「こうしたことには頼りないから」
「のんびりし過ぎていてね」
「世間のことには疎いし」
「朝だってね」
「寝坊したりするから」
「何か僕って信頼ないのかな」
動物達の言葉を聞いてです、不安に感じて言う先生でした。
「普段は」
「いざって時はやっぱり先生だけれどね」
「普段はね、どうしてもね」
「僕達がいないと何も出来ないから」
「そういうところがあるのは事実だからね」
「やれやれだね。けれどね」
先生は動物達の容赦のない言葉にです、困った笑顔になりながらもです。
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