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神葬世界×ゴスペル・デイ
第一物語・後半-日来独立編-
第七十四章 終息へ向かう時《2》
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ていたことが解ったセーラン。だが、口には出さなかった。
 出してはいけないような気がして、喉の奥へと仕舞い込んだ。
「お陰様で。たぶん、傷の方も平気かと」
「驚く程回復速くてびっくりだぜ。いやあ、若者の生命力ってやつですな」
「治ったのか?」
「そういう力も持っててね、心配いらねえよ充分治った治った。後で医者にでも異常ねえか見てもらうんだな。治った、つってもあんまし動かねえように心掛けねえと万が一ってこともあるからな。
 俺のせいにされても困るし」
 特に他は治さなくとも彼方で出来るため、能力の発動を止めてからセーランは立ち上がる。
 もうここにいる意味も無いし、これから奏鳴の元へ行かなければならないからだ。
 暴走に至るまでどれ程掛かるか分からないが、何処か落ち着いている自分がいる。
 焦っているのに、何故か冷静に物事に向き合えるのだ。
「仲間の傷を治してくれたこと感謝している。個人的にではあるが何時か恩を返させてもらう」
「ちょ、先輩! 別にコイツが勝手にやったことなンすから、恩なんて返さなくても」
 長らく黙っていた王政が意見を言う。
「拙者個人がそうしたいのだ。事情は複雑ではあるが、仲間を助けた恩は恩で返す。単純この上無い」
「そういうとこ、誰に対しても変わらなく甘いっすよね」
「焼き餅焼いてんのかあ? オメエ年上好きだもんなあ」
「何ニヤついてンだよ!」
「照れなくても大丈夫でちゅよー、お兄ちゃん達は分かってまちゅからねえー」
「ウゼえ、日来長の前でも変わらずウゼえ……」
 拳を強く握り締める王政は、自身と玄次郎との力量の差を知っているがために手を出さなかった。
 返り討ち会うのが目に見えている。
 立ち上がったセーランの前へ、王政と会話をしていた玄次郎が立ち塞がる形で行く手を塞いだ。
 なんの真似なのかと思った直後。
 問い掛け、言葉一つも置かない即座の打撃が玄次郎より放たれた。
 空気を断ち、竜神さえも打ち飛ばす程の打撃。
 仲間であっても構え無しの行動に驚きを隠せなかった。
 ただ天桜の長である央信の口は、皆には見えなくとも笑っていた。
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