第五章 StrikerS編
第百七十二話 『外伝20 海上隔離施設の人々のその後』
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ああ。スカリエッティ経緯で知っている。別の世界の人間だということを」
「はい。私はその理想を実現するために、前の世界ではあらゆる手を尽くしてきました。紛争地域に自身の力である魔術で乗り込んでいき、この手で悪の行いをする犯罪者を時には倒し、そして最悪は手をかけてきました」
「それは……つまり」
話の内容を察したのかゼストは少しばかり険しい表情になる。
「はい。私は養父同様に歪んでいたのでしょう。十のうち九を生かすために一を切り捨てて事態の解決をはかってきたんです」
自身を曝け出すシホ。
そこまで話すことでもないのについつい語りだしてしまうシホ。
ゼストの瞳には嘘偽りは許さないという意思が込められていたのも一つの要因とも言える。
「……そうか。察するにそれで世界を追われた、というのか?」
「当たらずとも遠からずです。すべてはさすがに話すことはできませんから。でも、この世界に来てから私の理想は変わったんです」
「ほう……変わったのか」
「はい。そのきっかけを作ってくれたのは最初は死んでしまった義理の姉の手紙からでした。そして、その後に高町なのは一尉の家族に拾われて、私は少しずつ自身の理想が変わっていくのを自覚したんです」
そう。この世界に来てからシホは『自身の正義とは一体なんだったのか?』と思い悩むようになり、思いつめ過ぎてある時には気絶してしまう事態にもなったことがあった。
でも、その度になのはや桃子に士郎、恭也、美由希と言った家族達が支えてくれて、仲間が増えていくうちに自身の血生臭い過去を打ち明けるという傷を開くことと同義の行為も行うほどにシホはみんなに心を開いていった。
そして、最初は姉の願いから来るものだった『大切な人達を護れる正義の味方』という理想……。
まだ当時はあやふやなものだった理想。しかし、それも今となっては本気で志しているシホ。
過去の自分と決別したわけではない。むしろ反面教師として未だに心に残している。
だがしかし、新たな理想を得たことで視界がさらに広がったことも確かなことで……。
広がった視界は、大切な人達をしっかりと映し出す。
かつては体を救うだけで心までは救えなかった……、だが今はしっかりと心も救っているとシホは思う。
いや、それはシホの生き方を見てきた周りも認めている。それを一番分かってくれるのはアルトリアだ。
彼女はこの世界に来る前の自身のことを知っている数少ない人物だ。
彼女の口からいつだっただろうか、こう話されたことがある。
『シホは、もうかつてのシロウではないのですね。……いえ、もう一人のシロウももうあの時のシロウではないのは分かっています。
話は戻します。告白しますが、今のあなたの生き方はとても私には眩しく、そして愛おしいものです。
かつて誓った事です
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