第三話:奇妙な再開
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「いてぇ!」
「この俺に同じ技は二度通用せん!」
そんな下らないやりとりをし、狭い部屋で暴れる俺達二人。 ふと傍らからクスクスと笑い声が聞こえて来たかと思えば、そこでは小望が俺と京介を見ながらくすくすと笑っており、俺は京介から手を放して小望へと問い掛けた。
「……何笑ってんだよ?」
「桜花にも友達なんていたんだなーと思ってさ」
「んだそりゃ、お前だって元々外にいたんだから腐れ縁の一人や二人いるだろ?」
「いや、そうじゃなくて桜花の人格的な問題で」
「それどーいう意味!?」
何、俺はそんなに絡み辛い性格をしてますか!?
「まぁ実際俺くらいしか遊び相手いなかったけどな、お前」
「うるせーし!B組の吉崎君とかいたじゃん!」
「吉崎、お前がいなくなってから数週間後にはお前の事忘れてたぞ」
泣いてもいいですか?
「大丈夫だよ、私は桜花がどんな人間でも嫌いになったりしないから」
「だってよ、良かったなぁ桜花」
「だからちげーって言ってるだろ、何か人を悲しい人間みたいに言うな!」
◆
……波乱の入学初日、俺はその後も異様に意気投合した京介と小望にいじり倒され、夜1時を超える頃にはもう精神的疲労でへとへとになってベッドへと倒れ込んだ。 小望は既に二段ベッドの上ですぅすぅと寝息を立てており、俺は電気の消えた部屋で一人「はぁ」とため息をついた(ちなみに京介は別部屋だ)。
――何と言うか、誰かとバカ騒ぎしたり、いじり合いをするのなんて随分と久しぶりの事だった。
まさかこんな所で知り合いに会うなんて思ってもなかったし、外見は随分と変わっていたが京介は相変わらずで、小望も珍しく俺にいじりを入れてきた(これまで散々からかってきた報復だろうか?)。
上で眠る小望の寝息を聞きながら今日一日で起きた事を思い返し、そして小さく笑って布団へ潜り込む俺の胸の内からは、昼間渋い顔で荷物整理をしていた時の気持ちなどどこか遠くへ吹き飛んでしまっていた。
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