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イデアの魔王
幕間:魔術に携わる者の王

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 『魔王』

 それは3013年の日本、ひいては世界において『悪魔、魔獣の王』を指し示す言葉ではない。

 『イデア魔術に携わる者の王』を指し『魔王』。

 一国において最も魔法適正に秀出た魔術師は国家の魔法技術、魔術師全ての象徴として「魔王」と呼ばれ奉られる。 言わばイデア魔術が浸透する以前の日本国に存在した「天皇」のような存在であるが、魔王の中にはその強大な力を用いて実質的に国を牽引するものもおり、その実態は各国によって様々だ。

 ……しかしどの国家の、どの魔王においでも共通する事がただ一つだけある。

 ――『魔王』とは一世一代限りのものであり、その子、孫が王位を継承する事は絶対にない。

 現段階のイデア論においては、個々の魔術適正は親兄弟、血筋等と言ったものに一切の影響を受ける事はない、と言うものが一般論だ。
 その為既存の魔王が死亡、その他諸々の要因で魔王として在位する事が困難であるとされた場合、国家魔法技術の象徴となる魔王、そしてその配偶者となる『魔皇妃(まこうひ)』は、出自、職業、社会的立ち位置に関わらず、10〜30代前半までの若い世代で最もイデア魔術に対する適性の高い男女が国民の中から一人ずつ選ばれ、従来の家族や友人の元を離れ王位を継承する事となるのだ。
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