姫君-アンリエッタ-
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結婚させられそうになったのよ!しかも相手は爺さんよ、じーさん!!冗談じゃないわ!!」
それはあなたの自業自得じゃないですか……。キュルケのはやばやとした口調で語られた体験談を聞き、皆呆れて同じ事を思ったが口には出さなかった。
モンモランシーは憂いを帯びた目でアンリエッタを見た。
「お国の為とはいえ、おかわいそうな姫殿下……。やっぱりあの枢機卿が政治を仕切ってるのね」
「街で流行ってる小唄の内容どおりかい?モンモランシー」
アンリエッタの隣を歩く枢機卿を見ながら、内容を確認するかのように話すギーシュ。
「唄?唄ってどんな?」
「い、いや僕の口からは…とても…」
サイトに尋ねられて口ごもるギーシュだったが、代わりにタバサが歌詞の内容を口に出した。
「トリステインの王家には美貌はあっても杖がない、杖を握るは枢機卿。灰色帽子の鳥の骨」
「バ、バカ歌うな!聞こえたらどうするんだ!!」
聞かれたら不敬罪に問われてしまいかねない。ギーシュはタバサに黙るように言う。
「姫殿下もあの笑顔の下でその事をお悩みになられてるのかしら」
モンモランシーが独り言のように呟く。場に流れる沈んだ空気。もっともそれはキュルケが話題を変える事で解決する。
「ま、そんな事はどうでもいいわよ。やっぱりあたしの方が綺麗よねダーリン♪」
自分から話ふっといてそのコメントですか!内心で二度目の突っ込みを入れるサイトたちであった。
一方でサイトはルイズの顔を見た。彼女の視線はアンリエッタへと真直ぐに向いていた。しかし肝心のルイズはまったくの無視。昨日あれだけ明日の姫様のご来訪の際粗相のないようにだの、早く寝ていつでも出迎えるようにしろと言っていたくせに、サイトの存在にさえ気づいてもいなかった。その時、彼はルイズの表情が変化したのを見逃さなかった。
一瞬はっとすると、次の瞬間には頬を赤く染めていた。その変化に違和感を感じたサイトはギーシュに尋ねた。
「どうしたんだルイズ。何か気になるものでもあんのか?」
そう言って恐る恐るルイズの視線を追う。そこには、逞しく口髭が凛々しい、つばの広い羽帽子を被り幻獣の刺繍の入った黒いマントを羽織った貴族がいた。彼はアンリエッタの手を取って共に歩いている。誰だろう?なんか目つきがいい具合に鋭いし逞しくって男らしいって言うか、すっごくカッコよくないか?そこまで考えて妙な敗北感を感じたサイトは、その男が誰なのか周りに聞かずにはいられなかった。
もう忘れている人がいるかもしれないが、ディノゾールが出現した際、他の貴族たちよりも表立って奮戦したメイジ、ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドである。
「なあギーシュ!お前あの男知ってるか?」
「え、あ、ああ…彼は」
すると、遮るようにモンモランシーが解説を引き継いだ。
「あ
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