姫君-アンリエッタ-
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!!!」
お出迎えの言葉と共に、ユニコーンが引く白い豪華でありながら清楚なつくりをした馬車の扉を侍女が開く。中から先導して出てきたマザリーニ枢機卿に手を引かれながら、アンリエッタは地面に降り立ち、同時に歓声が生徒・教師たちから湧きあがった。
「アンリエッタ王女万歳!トリステイン王国万歳!!」
地面に降り立ったアンリエッタは、護衛と思われる帽子とマントを纏った貴族に手を取られながら歩いていく。その途中で出迎えた学院の者達へ向かって、彼女は微笑みながら優雅に手を振った。その姿に皆心奪われた。当然のごとくギーシュもまた、その美しさに目を奪われている。
「姫殿下!なんと可憐な…!すらりとした気品ある顔立ちにバラのような笑顔!優雅なお姿と神々しい気高さ!!まさにトリステインの可憐な花」
「あれがこの国の王女?あたしの方が綺麗じゃない。そう思わないタバサ」
「さあ」
自分の美貌に自信があるそキュルケと、特に興味を持たずどうでもよさげなタバサのやり取りを見たギーシュが食って掛かった。
「失礼だぞキュルケ、タバサ!!」
ギーシュを無視し、先ほどと同じ態度のキュルケにモンモランシーが話しかける。
「トリステインとあなたの祖国たるゲルマニアって同盟を結ぶんでしょ?そんな態度…」
「あたしが気になるのはそこよ」
モンモランシーの言葉をキュルケがさえぎる。
「あなた達の言う美しい姫殿下だって『ゲルマニアの貴族らは成り上がり』って見下してるんじゃない?」
キュルケの祖国ゲルマニアは強大な軍事力と国力を備えた国。しかし、このトリステインやアルビオン・ガリアと違い始祖ブリミルの血を持たない皇帝の存在や、他国とは違って貴族と平民の壁が薄く、身分で人生のすべてを決めつけられるわけじゃないと言う自由を兼ね備えている分、トリステインのような気位の高い国の貴族たちからは野蛮だの、成り上がりだのと罵倒されてもいたのだ。もしかしたら、地球のあらゆる国を見せても、ゲルマニアと同類だと酷いコメントを吐くことだって不思議じゃない。
「まさか。これから同盟を結ぶ相手なのよ」
それはないだろうと、モンモランシーは苦笑したが、キュルケは続ける。
「同盟を結ぶために私の国の皇帝と政略結婚。いい印象を持たれてるとは思えないのよね」
「王族や大貴族の結婚って大体そんなものじゃないの?姫様だってそれくらい心得て……」
「甘いわねモンモランシー!自分の気持ちは無視されて周りが勝手に決めるのよ!?知らない国の知らない男と結婚するなんて普通冗談じゃないでしょ!!!」
「な、何かあったのかい?」
ものすごい剣幕で語るキュルケに、思わず尋ねるギーシュ。
「ええあったわよ!向こうで好き勝手やって前の学校辞めさせられてぶらぶらしてたら『そんな事では対面にかかわる』とか言われて無理
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