姫君-アンリエッタ-
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ども忘れなかったのである。あまりにも恥ずかしくはしたない。もし記憶を消すことのできる魔法やセクションがあったら、間違いなく彼女はそれに頼りたがるに違いない。
ルイズは先ほどまでの自分を抹消したがっていた。そして浮かんだアイデアは…サイトの頭をぶっ叩きまくって無理やり記憶を消し去るという手だった。…もとい八つ当たりである。サイトに罰を下すためだけに買ってきた鞭を振り回しながら襲い掛かってくるルイズから逃げながらサイトは抗議した。
「俺に当たるなよ!悪いのはモンモンと、薬を飲んだお前だろ!」
「お黙り!!大人しくご主人様の罰を受けなさい!」
「そんな理不尽な!!」
しかし、そんなサイトの嘆きはリミット状態のルイズに聞き届くはずもなかった。
「そう言えばあの時、湖に現れた彼は一体何者だっただろうか!?サイトよ、何か知らないのかい?」
「え?彼って…」
彼って…ラグドリアン湖で自分たちの姿に姿を見せたあの…黒崎修という男のことだろうか。いや、それ以外に誰がいる。
サイトは非常に興味があった。変な意味ではない。自分と同じウルトラマンの力を持つ地球人、この異世界でこれほどイレギュラーな奴はいない。一体彼が何者なのか、どこから来たのか、結局尋ねることができなかった。我に返ってルイズもシュウのことを思い出した。
「あの時、ちゃんとあいつに問い詰めればよかったわ。どうしてフーケなんかを助けたのか…」
そうだ、さんざん貴族になめ腐ったことをしでかして頭を悩ませてきたかの悪名高い盗賊フーケを助けるような奴が、どうしてウルトラマンなのか不思議だった。
「案外、彼はフーケを捕まえて、その懸賞金で路銀を集めようとしていたのかもしれないわね」
「そうだといいけどね」
実はフーケを生かした状態で捕まえに来たから姿を現した、と予測したモンモランシーにルイズは相槌を入れるが、サイトはそれについて違うと否定した。
「いや、それはない。あいつはウルトラマンだ。そんな人間臭い俗なことをあの姿でやるとは思えない」
「でも可能性はないわけじゃないでしょう?私たちはそもそもウルトラマンのことなんてほとんど知らないもの。何があったっておかしいとは思えないわ。現に、私たちを襲ってきた黒いウルトラマンのことだってあるじゃない」
「…」
サイトはそう言われて、押し黙る。黒いウルトラマン…あのファウストと名乗る黒い巨人のことを思い出していた。姿かたちは非常にウルトラマンに似ていると言える。しかし、その奥に隠れたどす黒いオーラを、肌でじかに感じ取った。
「サイト、あんたはあのファウストっていう黒いウルトラマンのことを知らないの?」
「何度も言ってんだけど…はっきり言って見たこともない。それも、根本的に悪のウルトラマンだなんて、俺は聞いたことがない」
「でも、その悪
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