姫君-アンリエッタ-
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の人はね、閃光の二つ名を持つワルド子爵様よ。グリフォン隊隊長で強力な風の魔法を操る、畏怖と憧れの象徴たる人物。貴族の鑑のような立派な方だわ」
そこまで説明するとジト目になり、後ろにいるギーシュに聞こえるように呟く。
「グラモン元帥の息子にも見習ってもらいたいものねぇ。そう、例えば…昨日ラグドリアン湖で会ったあの人みたいにストイックでクールなら…」
「ひ、酷い……」
あの人…とはシュウのことだろう。昨日はちゃんと照れながらも可愛らしく褒めてくれた割に、解説役を取った上にキツイ物言いをするモンモランシに対して落ち込むギーシュであった。
「あのワルドって人が乗っている生き物ってグリフォンかしら?ってことは彼、風系統のメイジってことね」
「風の使い魔の代表格」
タバサがキュルケの一言にそう答えた。
キュルケの問いに答えるかのようにタバサは口髭の男=ワルドの正体を口にする。
「あの男のマントにグリフォンの刺繍があった。彼はグリフォン隊の魔法衛士」
「グリフォン隊って、たしか王宮直属の幻獣を騎乗する『グリフォン隊』『マンティコア隊』『ヒポグリフ隊』と三つある魔法衛士隊の中でも、特に選りすぐりの貴族で構成された部隊よ」
モンモランシーも最後にそう説明してくれた。
「ワルド様ねえ…なかなか素敵な方じゃない!お髭がとてもセクシーだわ!」
サイトにぞっこんなセリフを吐く割に、あっさりと乗り換える。キュルケらしいと言えばそうだが、正直悪い意味でしか伝わらない。いつの間にか女子生徒たちから熱のこもった声でワルドコールが響く辺り、仕方ないのかもしれないが。
サイトは気になる人物の説明を聞き、相手の正体は判ったが、心なしか気持ちは落ち込んだ。
(ルイズってばあんな男が好みだったのか?)
もう一度ルイズの顔を見ると、先ほどの騒動すらまるで気づいていないようで、ワルド子爵を見ながら未だに顔を染めている。まるで恋する乙女の顔だ。
『なんだよサイト、お前やきもちか?』
「な!?」
急にゼロが、サイトをからかってきた。
「ちっげーよ!なんで俺がこんな爆弾岩みたいな奴を!」
思わずサイトは大声でわめいてしまった。いきなりの大声に周りの生徒たちが驚くと、真っ黒でどす黒いオーラがほとばしった。
「だ、だ〜〜れが爆弾岩ですってええええええ!!!」
流石にサイトの今の悪口が、聞き捨てならなかったようだ。杖を構えて髪をゆらゆらとメデューサのように靡かせながらひきつった笑みで腰を抜かしたサイトを見下ろした。
「爆弾もそうだし、岩ってどういう意味!?ままま、まさか、私の胸のことを遠回しに言ってるんじゃないでしょうねええええ!!!!??」
「い、今のは言葉のあやで…!!」
「待ちたまえルイズ!今は姫様の御前なんだぞ!」
ギーシュが慌てて今の状況を教え
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